「笑った瞬間に…」若い女性の「尿もれ」の悩み、専門医に聞きました

「10代の尿もれって変?」「透明でサラサラしている“おりもの”は尿もれ?」。人には聞けない悩みから、尿もれの原因・改善方法を、専門医に分かりやすく解説してもらいました。
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「くしゃみをしたり、笑ったりした途端、思わず尿が漏れてしまった」そんな経験ありませんか。

「尿もれ」は中高年の悩みと思われがちですが、実は10代、20代でも悩む女性は多いそうです。

他人に相談しにくい「尿もれ」の悩み。

でも、もう一人で悩まないで。原因から改善方法まで、専門の医師に聞いてみました。

お話を聞いたのは、女性泌尿器科の専門医・関口由紀 医師(「温かくてしなやかなちつと骨盤が体を心を幸せにする。」著者)です。 

関口由紀医師

10代の尿もれの原因ってなに…?

お悩み

10代の高校生です。ジャンプをしたり、笑ったりすると尿が漏れます。パンツが濡れるほど出てしまうので困っています。まだ若いのにとても不安です。

先生の回答

・病気ではないので、心配し過ぎないで

・若い女性の尿もれほど、骨盤底筋を鍛える簡単なトレーニングで改善します

10代、20代で出産経験のない女性の尿もれのほとんどが「骨盤底筋」という筋肉が、体質的に柔らかいため起きるものです。骨盤底筋とは、姿勢を保ったり、子宮や膀胱などの内臓を支えたり、排泄のコントロールをしたりする筋肉です。

実は、骨盤底筋が柔らかい女性は、お産では安産になりやすく、決してネガティブなことばかりではないんです。健康に異常があるわけではないので、まずは心配しないで下さいね。

さて、あなたのように体質的に骨盤底筋が柔らかかったり、もしくは妊娠や出産・老化で緩んだりして起きる尿もれのことを「腹圧性尿失禁」と呼びます。

本来、お腹に力が入り腹圧がかかると、その瞬間に骨盤底筋が収縮して尿道が閉鎖されます。しかし、骨盤底筋が緩んでいると、その収縮バランスが崩れて尿道を閉じることができず、尿もれを起こします。咳やくしゃみをした時や、運動をした時、大笑いした時などに思わず尿が漏れてしまうのは、この腹圧性尿失禁が原因です。

一方で、40代以上の女性に多い尿もれの原因が「過活動膀胱による切迫性尿失禁」です。急に我慢できない尿意を感じ、トイレに間に合わず漏れてしまうという場合は、こちらが原因です。

しかし、腹圧性尿失禁、過活動膀胱による切迫性尿失禁のいずれの場合も、「骨盤底筋を鍛えるトレーニング」(記事後半で解説)が有効な改善方法です。特に若い女性ほど改善しやすいので、ぜひ試してみてください。

それでも症状が好転せず、週に2-3回以上尿もれがあって、下着を取り替える必要がある時は、泌尿器科を受診しましょう。薬による治療や、手術という手段もあります。

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これって尿もれ?それとも、おりもの?

【お悩み②

トイレでパンツが濡れていることに気付きました。特に尿意を感じた覚えはないのですが。これは尿漏れでしょうか(20代女性)

【先生の回答】

・おりものの可能性が高いです。透明でサラサラしているおりものは健康のしるし!

・「おりものシート」は、おりものの量が多くなる「生理2週間前の排卵期」だけ使用しましょう

尿意を感じた覚えがないのにパンツが濡れているという場合のほとんどが、尿もれではなく、おりものです。特に若い女性は、透明でサラサラしたおりものが分泌されます。これは健康で妊娠可能な身体であることの証なので、むしろプラスに捉えて下さいね。尿もれの場合は、数時間経った後のパンツの匂い(アンモニア臭)で分かると思います。

最近の女性は、毎日「おりものシート」を使用する人も多いようですが、実はあまりおすすめしません。本来、女性の陰部は湿っているのが良い状態ですが、おりものシートは肌をかぶれやすくし、陰部を乾燥させてしまいます。

気になるようならば、おりものシートの使用は最もおりものの量が多くなる排卵期(生理の約2週間前)や生理直前だけにしましょう。パンツは、ナイロン製ではなく、できるだけ木綿のものを使用してください。

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尿もれしやすい・しにくい飲み物って?

【お悩み③

尿もれしにくい飲み物ってありますか?

【先生の回答】

・尿もれが心配だからといって水分摂取を控えるのは厳禁

・カフェインやお酒、柑橘系のジュースは、麦茶やホットのハーブティーに置き換えてみて

まず始めに、尿もれや頻尿を気にして水分摂取を控える方がいますが、脱水症状を防ぎ、毒素や老廃物を排出するためにも、水分を控えすぎるのは要注意です。冬場は水1リットル、夏場は水2リットル、春と秋は1.5リットルを目安に水分を取るようにしてみてください。

また尿もれに悩む人は、膀胱の粘膜を刺激するうえに、利尿作用があるカフェインやコーラなどの炭酸飲料、柑橘系のジュース、アルコールは、適量(調子がいい時は一日2〜3杯まで、調子が悪い時は控える)にしましょう。麦茶やホットのハーブティーなど、尿もれに影響を及ぼさない飲み物に置き換えるのもいいですね。

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骨盤底筋が緩んでいるかどうかセルフチェックする方法

骨盤底筋が緩んだり、弱ったりしていると尿もれが起きやすいことがわかりました。自分の骨盤底筋の状態が気になる女性も多いはず。

そこで、関口先生に簡単に骨盤底筋の状態を確認できるセルフチェックの方法を教えてもらいました。入浴中などに、チェックするのがおすすめです。

ステップ1:人差し指を第2関節まで膣に入れます

ステップ2:肛門と膣、尿道を締めて、息を吐きながら、膣を上に持ち上げます

この時に、指が膣の奥に引き込まれるような感覚があれば問題ありません。膣に全く力が入れられなかったら、骨盤底筋が低下している可能性が高いです。

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日常に簡単に取り入れられる骨盤底筋トレーニング 

尿もれを改善するには「骨盤底筋トレーニング」が有効です。今回はそのうち、日常生活に簡単に取り入れることのできる簡単なものを紹介します。電車に乗っているときや、家事をしているときなどに、ぜひ行ってみて下さい。

ステップ1:背筋をまっすぐ伸ばして、息を吐きながら、まず肛門を締め、次に膣・尿道をギューッと締め、胃のほうに持ち上げます。

ステップ2:その後、5秒~10秒くらい維持します。

ステップ3:さらに骨盤底を、息を吸いながら、ゆっくり大きく緩めます。
この動作を2~3回繰り返します。

骨盤底筋トレーニングはオーガズムを感じやすくするなど、セックスの満足度を上げる効果もあるそうです。最近では、骨盤底筋トレーニングを教えてくれるフィットネススタジオやクリニックもあります。本格的なトレーニング法を身に付けたい方は行ってみても良いかもしれません。 

関口由紀

女性医療スペシャリスト・女性泌尿器科専門医。女性医療クリニックLUNAグループ理事長。最新の女性泌尿器医療の実現を目指している。著書に『自分で治す!頻尿・尿もれ』(洋泉社刊)、『女性の尿もれ・頻尿は骨盤底筋を鍛えて防ぐ!』(PHP研究所)などがある。

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