「核兵器のある世界よりも、もっと悪いのは核兵器の無い世界である」

一体何を言っているのか? と驚くが、核抑止論者が言っていることはつまりはそういうことだ。
National Archives and Records Administration

「核兵器のある世界よりも、もっと悪いのは核兵器の無い世界である」。

一体何を言っているのか? と驚くが、核抑止論者が言っていることはつまりはそういうことだ。

彼らは、核兵器こそがロシア・中国・米国・ヨーロッパその他の国々などで争われる第3次世界大戦を防ぐ唯一の方法だという仮説をたてている。もちろん核戦争を抑止するだけでなく、その他の通常兵器による攻撃をも抑止していると信じている。

しかし、核抑止力の考え方は二つの視点から意味がないと言える。

まずひとつに、欧米・ロシア・中国の指導者たちが地球全体の経済活動を破壊するような核の使用を伴う戦争を求めているだろうか? ということ。

指導者たちはこの70年間、核兵器を使用しなかった。それは、これから先70年も意図的に使用されないことを想定させてくれる。(もちろん、事故が起こるとも限らないが)

もし、核兵器が意図的に使用されるとしたら、イスラム国によってか、それとも世界の政治制度を壊してしまおうというグループによるものだろう。これは、指導者たちが核兵器を廃棄することを真剣に考え始める動機にもなっている。そして、全ての仕組みを本当にぶち壊してしまおうという人々が核兵器を手に入れたら、どこの国が核を持っていようがいまいが、使うだろう。つまり、核兵器は本当は、何も抑止していない。

もうひとつは人道主義的な観点である。

たった一発の核兵器爆発が大都市の上空で起こったとしたら、例えどんな国々で生じたとしても赤十字の救済対応能力を超える多くの死と破壊が生じる。やけどをした被害者に処置できる国は一つも無いのだ。都市は消え去り、国は荒廃し、地球経済は混沌状態になだれ込む。500万トンの粒子を空中にまき散らすことが出来る核兵器(広島原爆100個分=10~15の水爆)は、太陽光線を10%遮蔽し、核の暗黒と呼ばれる状態を引き起こす可能性がある。そうなれば世界中の穀物を不作にし、核に依る飢饉が生じて何十億の一般市民を死傷させるのだ。何百もの核爆弾は人類を絶滅するほどの「核の冬」をもたらすと言われ、子々孫々まで影響を及ぼす。

これらのことは2013年3月オスロ会議(ノルウェー)、2014年2月ナヤリット会議(メキシコ)、そして2014年12月ウィーンでの国際会議で提起され、確認されてきた。

そして、世界はこれまでに、少なくとも20回は核戦争一歩前まで近づいたことがある。

私たちが今日生きているのは、ほんの一握りの人たちが命令に従わなかった、あるいは機器の故障によって保たれてきただけにすぎない。

これらの事から、抑止論者に次の質問を投げかけたい。

1. あなた方は今までの幸運が永久に続くと信じているのですか?想定外の事態や人的ミス、頭のおかしい輩が暴走することが決して起こりえないと信じるのですか?

2. 米国やロシア、他の国々が永久に核開発や購入を防ぐことが出来ると信じていますか?(地球上で最も貧しい国の一つである北朝鮮が核兵器を手に入れて、持っていることを指摘しておきたい)

3. あなたの国がもし核兵器で攻撃を受けたとしたら、あなたの国の軍隊が核兵器を使って仕返しの戦いを挑みますか?そうしたらどうなると思っているのですか?実際に何が起こるというのでしょう?双方の国にとって何を獲得し、何を失うのでしょう?

4. もし核兵器に費やされているお金を地球上で現在困窮にある何十億の人々の生活を改善できるとしたらもっと安全ではありませんか? 鉄砲や爆弾よりも脅威やテロを減らすことができるのではありませんか?

これらの質問への正しい答えは;

1.NO。私たちの幸運は永遠には続きません。原子力産業は完全に安全だというでしょう。しかしスリーマイル島、チェルノブイリ、福島第一、何百という事故が生じています。すべて想定外のことが起こったということで片づけられていますが、それは実際に起きたのです。

2.NO。国連は40以上の国々が今後2~3年のうちに核兵器を持つかも知れないと予想しています。米国とロシアはもう他国に指図したり命令する強さを持っていません。もし、彼らの兵器を今後保持し続けたいと思うなら、中東を始めサウジアラビア、イラン、さらにエジプトへと拡がるでしょう。

40カ国が核を保有したなら、その使用の可能性は上がるでしょう。

3.絶対NO。抑止力というのは相互に核兵器を使うぞ!ということが前提です、しかし実際に核兵器を互いに使用することは全人類を蹂躙するものです。数百の大きな爆弾は我々すべてを、人類を殺傷してしまいます。結局、抑止力という主張は「私は自分の物を守る為に、この地球上のすべての男性、女性、と子供たちを抹殺しますと言っているのと同じです。負けるよりは死をという原始的な考え方をするリーダーたちを緊急に排除しなければなりません。

4.YES! 核兵器のために使用されているお金で、この地球上で餓えに苦しむ男性・女性そして子供たちすべての人々に食料と衣類を与えることができます。このような真剣な努力が地球上の異常気象環境を大幅に変化させ、テロをなくすことになるのです。食料や医薬品、衣類、住居や良い生活を支援する人を殺すようなテロリストに誰がついていくでしょう?そこから利益を得ようとするエリートたちが意図しているように、テロによる戦争はもっとテロリストを生みもっとテロ行為を発生させるのです。テロの恐怖は決してテロ行為によって敗北することは無いのです。愛によってのみ打ち勝つのです。軍縮から出る愛情はテロリストがバカだという世界を作ってくれるでしょう。

核兵器に対する唯一の良識ある対応はそれらを廃棄すること。

そして廃棄することは人類の存続への第一歩となる。そのような一歩を踏み出すことは意識を高め、共通の数多くの問題点を解決に導く扉を開けることになるのです。人類の生存を望むなら、抑止論のような考え方を放棄しなければなりません。

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