1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」を巡り、被災者を装って寄付を募る投稿がX上で確認されている。
投稿には複数の不自然な点があり、詐欺の可能性があるため、注意が必要だ。
なぜかPayPayで寄付を呼びかけ
「助けてください 挟まれて逃げられません 消防にも連絡つきません 珠洲市大谷6-23-10」
地震発生から約1時間半後の午後5時41分、Xにこのような投稿があった。発信元はその後も断続的に投稿を続け、「生き埋めです」「6歳の子供もいます」「新井修太郎 新井悠人」などと発信。午後7時34分に「無事救出されました」とポストした。
しかし、その4分後の午後7時38分に「今後のための資金を寄付していただけると幸いです」と発信。PayPayのリンクを添付し、自らに送金するよう呼びかける投稿を行った。
この寄付を呼びかける投稿には1.1万件の「いいね」が付き、「助かってよかった」「今お気持ちだけ送金しました」などといった声もユーザーから上がっていた。
発信元は午後10時11分、この投稿にリプライする形で「皆様の貴重な御寄付、心より感謝申し上げます」などと発信し、それ以降は何も投稿していない(2日午前10時半現在)。
住所が存在しない…複数の不自然な点
しかし、自身への寄付を呼びかけるこの投稿には不自然な点がいくつもある。
まず、発信元が「生き埋め」になっているとして記した住所「珠洲市大谷6-23-10」は、Googleマップで検索しても特定の場所が表示されない。また、珠洲市「大谷町」という地名はあるが、「大谷」は存在しない。
Xのアカウント登録日も23年11月と最近で、地震前の投稿はローソン公式の投稿(アカウントをフォローして投稿をリポストするとスイーツの無料券が当たる)をリポストしているのみだ。
さらに、寄付を呼びかける投稿をした後にXのプロフィール画像を複数回変えているほか、詐欺を疑うユーザーのリプライを片っ端から「非表示」にしている。
そもそも、「生き埋めの状態から救助された」場合、大けがを負っている可能性が高い。救助されたと投稿したわずか4分後に自らへの寄付を呼びかける余裕はあるのだろうか。
PayPayは公式ウェブサイトで、「送る・受け取る機能やATMでのチャージを利用した詐欺について」と注意を呼びかけており、「見知らぬ人とやり取りをしないこと」を求めている。
なお、能登半島地震の募金に関しては、Yahoo! JAPANが「Yahoo!ネット募金」の窓口を開設している。