タコベルのタコスを10個食べて、フローズンドリンクを飲んだ。消費したのは約1880キロカロリー。それなのに、なぜかまだ満足感を感じない。なぜ?
カロリーの消費量と満腹感にはほとんど関係がないということが、研究から明らかになっている。満腹を感じるために必要なのはカロリーではなく、たんぱく質や炭水化物、脂質などの主要栄養素と、食べ物の量だ。
オレオを一袋食べても、大量のカロリーを摂取できるが、体が必要としている栄養素は摂取できない。食べた直後はお腹がいっぱいになるかもしれないが、あっという間に消費され満腹感は消えてしまう。
満腹度に関係があるのは、栄養素が含まれているかどうか。カロリーが高くても、ジャンクフードに含まれる栄養素は、同量の他の食品に比べて低い。
100キロカロリーを摂取するのに必要な量は、ほうれん草なら15カップ、オレオだと2個だ。
ほうれん草は物理的に胃を満たすだけでなく、食物繊維やベータカロチン、鉄分など必要な栄養素が含んでいる。逆にオレオが供給するのは高濃度の炭水化物くらいで、エネルギーはあっという間に消費されてしまう。
「満腹感を味わえない食べ物は、食物繊維が不足していて簡単に消化されてしまうことが多い。消化している間に、カロリーを安定して体に供給できません」とハーバード大学上級科学研究員のジェレミー・ファタード氏は説明する。
たんぱく質や食物繊維は、食べ物を徐々に消化してエネルギーを長時間体に放出するために欠かせない栄養素だ。ビタミンとミネラルも、満腹感に影響を与える。
必要な栄養素が足りないと、体は空腹を感じて、栄養素を含む食品を食べるよう促す。
ジャンクフードは通常、高度に加工された材料で作られるが、高度加工された材料は満腹効果をもたらす主要栄養素や天然由来のビタミンやミネラルに乏しい。
ジャンクフードと呼ばれるのは理由がある。
「世界公衆衛生栄養協会」は、食品を下記の4グループに分けている。
1. 加工されていない食品または最小限に加工された食品(例:オリーブ)
2. 加工素材(例:オリーブオイル)
3. 加工食品(例:全粒粉パン、缶詰野菜)
4. 超加工食品(例:ポテトチップスやクッキー、ファストフードや冷凍食品など)
ジャンクフードのほとんどは 超加工食品と呼ばれるグループに属する。
「超加工食品は、エクストルージョンと呼ばれる高度な加工法を使って大量生産されたり、食品添加物を使用された素材を使ったりして作られます」と、ブラジル・サンパウロ大学で栄養公衆衛生学を教えるカルロス・モンテーロ教授は話す。
どんな形の加工も、食べ物の栄養素に影響を与える。例えば、穀物を精製したり野菜を茹でたりすると、葉酸、チアミン、ビタミンCなどのビタミン類が損なわれる。
しかし超加工食品は、そういった加工より、さらに複雑な工業生産システムで作られる。
エクストルージョンは、食品の物理的な構造を変え、一部の栄養素を分離させる。トウモロコシや大豆、豆といった安価に入手できる食材から、たんぱく質や炭水化物そして脂質などを分離し、最終段階で再結合させる。
高度加工の過程で失われた食感や色、風味に代えて、うま味調味料、乳化剤、人工着色料などの食品添加物を加える。そういった食品添加物は、パッケージのラベルで確認できる。
モンテーロ教授は2010年、ファストフード店のチキンナゲットについてこう書いている。
「(チキンナゲットには)廃棄される予定だった動物の残存物から、高圧の粉砕機と遠心分離機を使って回収された成分が含まれています」
「精製されたデンプンや油のように、動物性の素材は見た目や香りを変えられて、ジューシーなフライドチキンのような味になります」
見た目が、加工食品やほとんど加工していない食品に類似する超加工食品もある。しかしそういった超加工食品は満腹効果や栄養素に欠ける。
高度に加工された食品は、私たちの口に入る前にすでにバラバラにされている。そのため、体内で消化する時にほぼエネルギーを消費せず、栄養価もほとんどない。
化学的に精製されたビタミンやミネラルを加えた超加工食品もあるが、未加工の食品と同等の栄養はない、と専門家たちは指摘する。
「栄養表示に同量のビタミンやミネラルが含まれていると書かれていても、加工していない食品の方が栄養価が高い」とファタード氏は言う。
「精白パンは、小麦を精製する段階でビタミンやミネラル、そして健康な腸内細菌を維持するために必要な食物繊維がほとんど取り除かれています。栄養素を加えても一部の問題を補完するに過ぎません」
超加工食品は、ホルモンにも悪影響
ジャンクフードを食べても、満腹感を味わえない理由はもう1つある。
それにはレプチンと呼ばれるホルモンが関係している。別名「満腹ホルモン」とも呼ばれるレプチンには、食欲を抑制する作用がある。しかし中性脂肪は、レプチンが血液脳関門を通過するのを抑止し、働きを低下させる。
低糖もしくは無糖のジャンクフードもあるが、栄養価は少ない。2013年の研究では、アスパルテームなどの人工甘味料は代謝に悪影響を与え、食欲を増すことが明らかになっている。
ダイエット飲料も注意が必要だ。体にエネルギーを供給せずに甘味成分を供給すると、体内のシステムが混乱して、食欲を増す可能性がある。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。