「北方領土の日」の2月7日、安倍晋三首相は東京都内で開かれた「北方領土返還要求全国大会」に出席し、北方領土問題を含む日ロ平和条約交渉について「私とプーチン大統領が終止符を打つ」と述べた。時事ドットコムなどが報じた。
プーチン氏は3月のロシア大統領選で再選される見通しで、それを受け、安倍首相は5月にもロシアを訪れてプーチン氏と会談したい意向だ。
外務省公式サイトより
全国大会はこの日、東京都千代田区の国立劇場で開かれた。産経ニュースによると、安倍首相は出席した政府関係者や元島民、返還運動者らの前で、「戦後72年が経過してもなお、日本とロシアの間に平和条約がないのは異常な状態だ」などと述べた。
北方領土交渉どうなってる?
北方領土問題をめぐっては、安倍晋三首相が2016年12月、ロシアのプーチン大統領と山口、東京で会談。北方領土での共同経済活動に向けた交渉を始めることで合意した。
日ロは海産物の養殖や温室野菜の栽培、観光、風力発電の導入などの分野で事業を進めようとしており、日本は共同経済活動を足がかりに将来的な領土返還交渉につなげたい考えだ。
だが、ことはそう簡単ではない。事業をすすめるにあたり、日本側は北方四島における日本の主権を害されないよう、ロシア法ではない「特別な制度」をつくることを求めている。これに対し、ロシアはあくまで、ロシア法のもとでの実施を主張しており、実現までにはかなりの難関が立ちはだかる。
仮に共同経済活動が実現したとしても、それを領土問題と結びつけることをロシアは嫌がる可能性が高く、なお曲折が予想される。
一方、北方領土はほかの千島列島の島々とともにロシアにとっては太平洋の防衛ラインにもなっており、軍事の要衝。択捉、国後両島での軍事力強化を進めている。プーチン大統領は2017年6月、日米安全保障条約が領土問題解決の障害になるとの見解を示し、日本側を揺さぶっている。