Tomas Ojea Quintana, special rapporteur on the situation of human rights in North Korea, attends a news conference after his report to the United Nations Human Rights Council in Geneva, March 12, 2018.
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(ジュネーブ) - 今週、脱北者と刑事司法の専門家たちが国連人権理事会会期中のサイドイベントで、北朝鮮で日常的に起きている人権侵害について貴重な視点を提供する予定だ、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。 子ども、市場のベンダー、報道の自由に対する人権侵害は、北朝鮮で起きている広範かつ体系的な人権侵害の一部をなし、国連の対応が求められる。人権理事会メンバー国は、国際的な刑事司法の専門家を配属した国連の在ソウル事務所を強化するために支援を続け、北朝鮮の深刻かつ組織的な権利侵害に対する法の裁き実現の後ろ盾にならなければならない。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ国際司法アソシエイト・ディレクターのパラム=プリート・シンは、「北朝鮮では人権侵害政策の責任者たちがぬくぬくと不処罰のブランケットにくるまれ、人権状況は悲惨なままだ」と指摘する。「人権理事会は、北朝鮮で起こっている、体系的で広範かつ深刻な人権侵害に対する責任追及の重要性に、焦点を当て続ける必要がある。」
ヒューマン・ライツ・ウォッチ、People for Successful Corean Reunification(PSCORE)、Christian Solidarity Worldwide(CSW)は、2018年3月14日にジュネーブで、北朝鮮における児童労働・報道・市場・説明に焦点を当てたパネルディスカッションを共同開催する。当該イベントは国連人権理事会第37回会期中のサイドイベントとして、3月12日の国連北朝鮮人権状況特別報告者トマス・オヘア・キンタナ氏による2回目のプレゼンテーションの後で行われる。
パネルディスカッションは午後4時から、パレ・デ・ネシオン(国連欧州本部)のルームXXIVで開催予定。児童搾取を経験した脱北者Dong Su Koo氏の証言と、北朝鮮の児童労働に関するPSCOREのNam Ba-da事務局長の報告、制裁下にある北朝鮮のインフレおよび搾取に関するPSCOREのKim Young Il代表の報告が大きく取り上げられる。ならびにCSWの広報責任者 Kiri Kankhwende氏が報道・市場・大規模監視体制について、ヒューマン・ライツ・ウォッチのシン国際司法アソシエイト・ディレクターが責任追及の必要性について報告する。
キンタナ氏は人権理事会への声明のなかで、「あらゆる形態の表現・移動・情報へのアクセスに対する厳しい制限が国家に対する恐怖を育み、人びとの命運が無責任な政府関係者に翻弄され続けている」と強調。同氏のマンデイトと国際社会全体にとっての重要課題として、「説明責任を追求する必要性」を説いた。北朝鮮をめぐる国際的な安全保障上の懸念のさなかで、「不処罰と人権無視の風土のなかに長期的な平和と安全保障は存在しないため」、安全保障問題だけを検討して解決はできないと繰り返した。
2014年に、北朝鮮における人権に関する国連調査委員会は、北朝鮮の人権侵害が、その「重大さ、規模、性質」において「現代の国際社会でほかに類がない」ものであると結論付けた。こうした人権侵害の大半は人道に対する罪に該当する可能性が高い。
シン国際司法アソシエイト・ディレクターは、「人権理事会の最大の任務のひとつは、北朝鮮の人びとに対する権利侵害の責任者がいつの日か法の裁きを受けるよう、その証拠を保存する取組みへの支援を続けることだ」と指摘した。
(2018年3月13日ヒューマン・ライツ・ウォッチより転載)