北朝鮮の対話姿勢「非核化するまでは真剣に受け止めない」 アメリカ国連大使が釘を刺す

韓国は歓迎。
アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使
アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使
Lucas Jackson / Reuters

アメリカのニッキー・ヘイリー米国連大使は1月2日、北朝鮮の新たなミサイル発射準備に対し警告を発し、北朝鮮が非核化への歩み寄りを見せない限り、予定されている北朝鮮と韓国との会談をアメリカ政府が重要視することはないだろうと述べた。

ヘイリー国連大使は記者団に対し、「アメリカ政府は、北朝鮮が再びミサイル発射を準備している可能性があるとの情報を得ている」と語った上で、「アメリカ政府は、そのような事態が起こらないことを望むが、もし、実験を行った場合には、北朝鮮に対してさらなる強行手段を打ち出さなければならない」と発言した。

北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央テレビ」は1日、金正恩朝鮮労働党委員長の「新年の辞」を発表し、対話の窓口は開いているものの、「核のボタンは私の執務室の机の上にある」「核兵器やミサイルの大量生産を加速させる」と述べた。

北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁決議を無視して核兵器とミサイル開発を推進している。北朝鮮とホワイトハウスとのけんか腰の駆け引きも相まって、緊張はより一層高まってきている。北朝鮮は、韓国とアメリカが2017年10月に実施した合同軍事演習を北朝鮮との戦争準備とみなしている。

金委員長は新年の辞で、韓国との対話について開かれているとし、2月に開催される平昌オリンピックについて「大会の成功を心より願う」と語り、北朝鮮の選手団派遣を示唆し、歩み寄りの姿勢を見せた。一方で、繰り返し北朝鮮の核の力について言及している。

新年の辞の信憑性について尋ねられたヘイリー国連大使は、「私たちは北朝鮮が完全に非核化するまでは、いかなる話も真剣に受け止めない」と述べた。

「北朝鮮は対話をしたい誰とでも話すことができる。しかしアメリカは、北朝鮮が非核化に同意するまではそれを認めない」

アメリカのドナルド・トランプ大統領はTwitterで北朝鮮と韓国の対話について、「ロケットマンは初めて韓国との対話を求めている。ひょっとしたらそれはいいニュースかもしれないし、そうでないかもしれない。 そのうち分かる!」と言って牽制した。

■ 韓国は歩み寄りの姿勢、中国は歓迎

韓国の趙明均統一相は2日、記者会見で板門店の韓国側施設「平和の家」で南北の高官級会談を開くことを提案した。趙氏は平昌オリンピックの北朝鮮の参加問題に集中するべきだが、北朝鮮の非核化を含む他の問題も取り上げられると指摘した。

「韓国政府は時間、場所、形式にこだわらず、北朝鮮との会談を拒まない」と、趙氏は語った。

高官級会談が実現すれば、2015年12月の南北次官級会談以来となる。

韓国の文在寅大統領は、金正恩氏の演説を歓迎し、南北対話を速やかに再開させ、北朝鮮選手団が平昌オリンピックに参加できるように準備を進めるように指示した。その上で文大統領は、「南北関係の改善と北朝鮮の核問題の解決を別々に進めることはできない」と強調した。

中国外務省の耿爽報道官は、北朝鮮と韓国の双方から関係改善を求める声明が出たことを歓迎した。

「中国は北朝鮮と韓国の相互関係が改善され、朝鮮半島情勢の緩和促進と、朝鮮半島の非核化の実現に向けて努力していることを歓迎し、支持する」

Reporting by Christine Kim, Jane Chung and Hyonhee Shin in Seoul, Michael Martina in Beijing, Doina Chiacu, David Brunnstrom, David Alexander and Arshad Mohammed in Washington, and Rodrigo Campos at the United Nations; Editing by Andrew Hay, Alistair Bell and Lisa Shumaker(翻訳:ハフポスト日本版編集部)

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