北朝鮮の1950年代の様子をとらえた貴重なモノクロ写真【画像】

フランスの映画監督であり写真作家でもあるクリス・マルケルが、朝鮮戦争が休戦したばかりの1950年代に北朝鮮を訪れて撮影した約140点のモノクロ写真は、韓国写真界に大きな波紋を起こした。

1989年に韓国で出版された「北の人々」は、韓国写真史の大きな転機となった。写真芸術と言えば、海からの日が昇る写真のような風景やヌードを連想していた時代、「ドキュメンタリー写真」という新たなジャンルを開拓する契機となった写真集だ。写真専門出版社「ヌンビッ」(眼光の意)の最初の作品でもある。

きれいなだけの風景写真より、写真が持つ最も大きな力、すなわち「記録性」に忠実にこだわったヌンビッ出版社の進路を決めた写真集でもある。フランスの映画監督であり写真作家でもあるクリス・マルケルが、朝鮮戦争が休戦したばかりの1950年代に北朝鮮を訪れて撮影した約140点のモノクロ写真は、韓国写真界に大きな波紋を起こした。当時の北朝鮮は、国土再建を通じてようやく戦争の傷跡から立ち上がろうとしていた時期で、青い目の西洋人が「私たちが最初に会った朝鮮の女性は、空から降りてきた」と敬意を抱いて「北の人々」をレンズに収めた。

初版2000部を5年かけて売り、絶版になった。この本の価値を理解した読者から増刷を求める声も絶えず上がっていたが、著者と連絡がつかずに復刊できなかった。筆者もまた、絶版になったこの本を購入したくて、古書店を探して回った一人だ。個人間の古本交換サイトで「もしやどなたか『北の人々』という写真集ありませんか」と、期待もせずに問いかけたら「クリス・マルケルですか?」という答えがあって感激したのを覚えている。本を持っていたこともさることながら、クリス・マルケルという名前を知っていただけでも感激して涙が出そうだった。この本はそれほど、古本収集家にとって垂涎のアイテムだった。幸いにも、この写真集は2008年、さらに立派で高級な装丁になって復刊された。

ある晩、「沈清伝」(朝鮮半島の有名な昔話)の公演で、休憩時間に出会ったイ・ヘスン。海の神霊の生贄に捧げられる場面で、手ぬぐいを顔に押し付けてすすり泣いている。この写真は、復刊時に表紙にもなった。

泣き疲れた弟を背負って荒野に立つ少女。

装甲車が遺棄された田んぼに、植えられたばかりの苗が並ぶ。戦争の傷跡と再建への努力が一目でわかる。

市場では韓服、そろばん、そして余裕があった。

北朝鮮南部・開城(ケソン)の市場の外れで出会った6人の子供。

「祖国の平和的統一万歳」と書かれたスローガンの下でパーマをかける女性たち

朝鮮戦争で荒廃した国土の再建は急ピッチだった。

しばし休憩している大同江の船乗り

早朝、山に入る木こり。

大きな機械の下に立つ人

瓦葺と藁葺きの家がはっきり分かれる集落を見下ろす。

当時、弓道は金持ちの特権だった。

この記事はハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳しました。

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