元TBSワシントン支局長の山口敬之さんに対し、「酩酊状態で意識のない伊藤詩織さんに合意がないまま性行為をした」などとして慰謝料など330万円の支払いを命じる判決が東京地裁であった。
控訴する意向を示している山口さんは、12月19日、外国特派員協会で記者会見した。「私の主張がまったく無視された形で、判決には納得できない」などと改めて訴えた。
山口さんは、TBSで官邸キャップやワシントン支局長などを歴任したエース記者だった。2016年5月末にTBSを退社し、フリージャーナリストに転身。翌月、安倍晋三首相について記した著書『総理』を出版したため、官邸に近いジャーナリストとして知られていた。
そのため、会見では「逮捕状の取り下げは、安倍政権と関係あるのか」という質問が殺到した。
海外メディアなどとの一問一答は以下の通り。
ーー逮捕状が出たのに執行されず、起訴もされなかったのは、「上級国民」(日本語で質問)だからではないのですか?記者としての意見を聞かせてください。総理大臣の力を借りたんじゃないですか?
いや、まったく思わない。逮捕状が出ていることを知りようがない。警察が来るまで、自分が捜査対象であることも知らなかった。
ーー政治家や官僚にも頼んでいないと仰るが、その時、もしくは事後に、どなたかが官邸なり菅さん(菅官房長官)なりに働きかけをした、というのはまったくお聞きになっていないのか。もし働きかけがあったとしても、山口さんは知らなかったのか。
はっきりと申し上げられるのは、この事案について、私はどの政治家にも警察にも、官僚にも、要するに誰にも何もお願いしていない。それ以上のことは私は何も聞いていない。私の知らないところで何かが起きていたかというのは私がお答えするのは適切ではない。また、それについて、何かが動いたという話を間接的に聞いたことは一切ありません。
ーーあれだけ報道があり、しかもご自分のことなのに確認もされていないということなんですね。
まず私は犯罪を犯していません。捜査されていることも知らなかったので、誰にも頼めなかったということをご理解いただいた上で、報道が出た後は特に、私が誰かに電話したりメールすることが誤解を招くということで一切の連絡を絶ちました。なので、通常の連絡もしていませんので、どの政治家にも官僚にも頼んでいません。
ーー官僚とか政治家には全く何も頼んでいないと仰いましたが、北村さんという方に週刊新潮からの質問を転送されています。これが内閣情報官の北村滋さん(当時)ではないかと言われています。もし違うのであればどの北村さんでしょうか。
本当のレイプ被害者は笑ったりしないとおっしゃったと報じられている。(※編集部注)山口さんが考えている被害者が取るべき態度とはどういうものだと思っているのか、何を根拠にしているのか。
北村さんにメールを送ったかどうかすら認める必要もないと思うんですが、メールは送っています。これは事実です。
これは、私の父が弁護士をしておりまして、父は去年亡くなったんですけれども、その関係者の北村さんという方。知人といいますか、父の友人の方です。これ以上はその方にご迷惑がかかるので申し上げませんが、この北村さんは、北村滋さんとは全く別の民間の方です。
2点目は、江川さん(質問したフリージャーナリストの江川紹子さん)の質問が非常に不正確。私は、性犯罪被害に遭った方が笑ったりとか幸せそうにしないという発言は一切していません。
それに類する誤解をしたとすれば、昨日の記者会見では、私のところに性犯罪を受けたという方から私のところにご連絡をいただいたと。ご本人が性犯罪被害者ですので、そのご本人から、本当に被害を受けた人の表情や行動についてご説明くださったと。その類似の説明をしましたが、私が性犯罪被害者がこういう行動をするかどうかということは私はまったく知りませんので、私はまったく申し上げていませんので、そこは訂正してください。
(編集部注)山口さんは前日の記者会見でこのように発言していた。
「本当の性被害を受けた方は、顔を出す出さないではなく、訴えることは当然の権利だし、社会がそれを受け止めるのは社会の義務だと思います。ただ伊藤さんは性犯罪被害者ではありません。
伊藤さんのように必要のない嘘、本質的な嘘をつく人が性犯罪被害者だと言って嘘の主張で出てきたことによって、私のところにも、性被害を受けたんですという方から連絡があり、お目にかかった方もおります。
本当に性被害にあった方は『伊藤さんが本当のことを言っていない。こういう記者会見の場で笑ったり、上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対にない』と証言しているんですね。今伊藤さんは世界中で露出をして本当の性被害者として扱われている。本当の性被害にあった方が、嘘つきだと言って出られなくなるのならば、残念だなと思います」