「範頼、ごめんね!」
甲冑姿の大泉洋さんがそう叫ぶと、三嶋大社の拝殿は笑いと大きな拍手に包まれた。静岡県三島市で開かれた「三嶋大祭り」の一幕だ。
NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で残酷な死に方をした源範頼(みなもとののりより)役の俳優に、兄・頼朝役の大泉さんがまさかのフォローをしたのだった。
■「ドラマ視聴時に落ち込んでいたのですが、まさかその救済場面を見られるなんて」と撮影者
NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源頼朝を演じた大泉洋さんは、三嶋大祭りの2日目の8月16日、「頼朝公旗挙げ行列」に参加。同ドラマの出演俳優4人で、甲冑姿で街中をパレードした。伊豆に流された源頼朝が、源氏再興を三嶋大社に祈願した後に挙兵した故事にちなんだ恒例行事だ。
先だって三嶋大社の拝殿で行われた出陣式で、大泉さんは「皆さまの前でどうしても言いたかったことがございます。この場を借りて、ひとこと言わせてください」とあいさつした。
一呼吸置いてから背後にいた範頼役の迫田孝也(さこだ・たかや)さんに向かって振り返り、「範頼、ごめんね!」と叫んだのだ。迫田さんは微笑みながら何度もうなずき、観衆に合わせて大泉さんに拍手を送った。
大泉さんは観衆に「兄弟のわだかまりもとけたところで、これから皆様の前にご挨拶にまいりたいと思っております」と、あいさつを続けた。
このときの様子を動画撮影したZEN次郎(@zenjiro22222)さんは、ハフポスト日本版の取材に、以下のようにコメントした。
「笑いながら、思わず泣いてしまう程感激しました。『鎌倉殿の13人』で源頼朝と源範頼の別れが非常に悲しく、ドラマ視聴時に落ち込んでいたのですが、まさかその救済場面を見られるなんて。大泉洋さんや迫田孝也さんのファンサービス、そして三嶋大祭りに大感謝です」
■「兄上とのわだかまりもとけ、思う存分楽しみました」(範頼役の迫田さん)
頼朝の弟である範頼は、兄の命を受けて平家を討伐。頼朝に対して努めて従順な態度をとっていたが、1193年に謀反の疑いがあるとして伊豆・修善寺に幽閉。後に殺害されたと言われている。『鎌倉殿の13人』の劇中では、頼朝の命を受けたと見られる「善児」の手で畑仕事中に暗殺されていた。
範頼を演じる迫田さんは、大泉さんの愛のある言葉を受けて16日に公式Twitterを更新。
頼朝公旗挙げ行列について「最高に楽しかった!頼朝兄上とのわだかまりもとけ、思う存分楽しみました笑笑」と振り返っている。