アメリカ軍とカナダ軍が共同運営する北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD:ノーラッド)は、クリスマスイブの12月24日午後(日本時間)から、世界の子どもたちにプレゼントを届けるサンタクロースの「追跡」を行う。
毎年恒例の"特殊任務"で、特設サイト「NORAD TRACKS SANTA(ノーラッド・トラックス・サンタ)」を見れば、何十億ものプレゼントが、どのようにして遠くまで運ばれるのか、そしてサンタが次にどの街に向かうのかを知ることができるという。
サイトは日本語にも対応している。
NORADは爆撃機や核ミサイルなどの航空攻撃に対して、北米の防衛を行っている軍事組織だ。まじめでお堅いイメージのあるNORADだが、トナカイと空飛ぶそりを追いかける伝統は、実は1955年から続いている由緒あるものだ。
当時、アメリカのコロラド・スプリングスに拠点を置く通販企業、シアーズ・ローバックが、「サンタに電話しよう」と広告を出した。
しかし、その広告に掲載された電話番号は間違ったもので、サンタにつながるはずの電話番号は、NORADの前身機関であるCONAD(コーナッド)の司令長官、ハリー・シャウプ大佐につながるものだった。
しかも、その番号はソ連(当時)からの攻撃などがあった場合のみに鳴るような、極秘「ホットライン」作戦の番号。初めてサンタへの電話が鳴ったときの司令部の張り詰めた状況を、アトランティック誌は次のように伝えている。
最初の電話は、シャウプ大佐が対応した。
「もしもし、こちらはハリー・シャウプ大佐です」
しかし、返事がない。
「もしもし、こちらはハリー・シャウプ大佐です」と、もう一回繰り返したが沈黙は続く。「もしもし」ホットラインに沈黙が広がる。「もしもし、聞こえますか?」
ついに、返事があった。しかし、それは司令官からではなかった。それは...小さな女の子からのものだった。彼女もまた、困惑していた。
「あなた、本当にサンタクロース?」
司令官は誰からの電話なのか問い詰めた。無愛想で、センスがなかった。電話の声は泣いていたと、シャウプ大佐の娘は当時を振り返った。
NORADの公式サイトによると、シャウプ大佐はサンタが南に向かった形跡がないか、部下にレーダーで確認させたという。これが伝統となり、現在も世界中のボランティアを巻き込んで続いている。
「NORAD がサンタを追跡するのはなぜ?」という質問に、公式サイトは次のように記している。
「この任務が最高だからです! NORAD は公認のサンタ追跡者としての任務を誇りに思っています!」