一見すると、それは蛍光色に塗り分けられた不思議なCGに見える。しかし、それは実際に存在する「ミクロの世界」の顕微鏡写真だ。脳細胞のシナプス、ナイロン製のストッキング、巻き貝の舌の表面。普段だったら小さすぎて気づかない世界には、想像を超えるアートが広がっている。
これは「ニコン・スモールワールド顕微鏡写真コンテスト」で上位に選ばれた写真だ。顕微鏡販売を手がけるニコングループのアメリカ法人「ニコン・インストゥルメンツ」が毎年実施しているもので、第46回目となる2020年の審査結果が、10月13日に発表された。
プレスリリースによると、1位に選ばれたのは、熱帯魚「ゼブラフィッシュ」の断面図。蛍光タンパク質を使ってリンパ管をオレンジ色、ウロコを青色に着色している。350枚以上の写真を合成したものだ。
撮影したアメリカ国立衛生研究所のダニエル・カストラノバ博士は「この写真は美しいだけでなく、ゼブラフィッシュがリンパ管の発達のモデルとしていかに強力かを示しています」と話した。リンパ管の研究は、がんやアルツハイマー病など、人間の脳に発生する病気の治療に関連する研究を促進する可能性があるという。
世界中の科学者や写真家から寄せられた何千枚もの応募写真の中から選ばれたトップ20の美しき写真を紹介しよう。
■第1位 ゼブラフィッシュの稚魚
■第2位 数日ごとのカクレクマノミの胚
■第3位 淡水巻き貝の舌
■第4位 土壌菌類の胞子と菌糸
■第5位 昆虫「ボゴングガ」の頭部
第6位 花粉が付いたヘーベの花の雄しべ
■第7位 細胞内の微小管 (オレンジ色) と核(水色)
■第8位 カメレオンの胎児
第9位 脳細胞。海馬ニューロンをつなぐシナプス
■第10位 オオミジンコ
■第11位 紅藻
■第12位 髪の毛
第13位 Lグルタミンとβアラニンを含むエタノール水溶液を加熱後に形成された結晶
■第14位 昆虫のハマキチョッキリの一種
第15位 無性生殖で繁殖中のトックリヤドリミミズ
第16位 ナイロンストッキングの繊維
第18位 アトラスガの羽
■第19位 クモノスケイソウの細胞壁
第20位 セバタンビヘラコウモリの胎児の骨格