ナイキは11月4日、反ユダヤ主義的な投稿をした米プロバスケットボールNBA、ブルックリン・ネッツのカイリー・アービング選手との契約を解消すると発表した。
最新のカイリー・アービングモデルシューズの販売も取りやめるという。
AP通信によると、ナイキは契約解消について「我々は、ヘイトスピーチの存在する余地はないと信じており、すべての反ユダヤ主義を強く批判します。そのため、カイリー・アービングとの関係をただちに解消し、カイリー8の販売も見送ります」とコメントした。
同ブランドは「この状況、そしてすべての人に与える影響に、深く悲しみ失望しています」と失意も表明している。
反ユダヤ主義的な投稿に批判
アービング選手は2011年にドラフト1巡目で指名された後にナイキと契約し、2014年からは、同ブランドでシグネチャーシューズを発表している。
しかしアービング選手は10月27日、ホロコースト否定や陰謀論など反ユダヤ主義的な内容を含むドキュメンタリーのリンクをSNSに投稿し、批判を受けた。
アービング選手は11月2日に会見して「誰かに危険を及ぼす意図はなく、ドキュメンタリーの内容すべてを信じているわけではない」と釈明。
さらに、ネッツとともにヘイト根絶に取り組む団体に50万ドル(約7400万円)寄付すると表明したが、謝罪はしなかった。
この会見の翌日、ネッツはアービング選手が反ユダヤ主義的な信条を否定しなかったことに失望していると述べ、無報酬で最低5試合の出場停止にすると発表した。
ネッツはリリースのなかで、反ユダヤ主義を否認しなかったことを「極めて憂慮すべき」と指摘し、「組織の価値に反するとともに、チームにとって有害な行為にあたる」と厳しく批判した。
この出場停止発表の後、アービング選手はInstagramに謝罪コメントを投稿。
反ユダヤ主義的な投稿について自らの非を認め、「私の投稿で傷つき影響を受けたすべてのユダヤ人家族やコミュニティに、心よりお詫びを申し上げます」と謝罪した。
それでも、今回ナイキは契約解消に踏み切った。
大手スポーツブランドが、著名人の差別的な言動に厳しく臨むケースが続いており、10月25日には、アディダスが反ユダヤ人発言を繰り返したラッパーのイェ(元カニエ・ウエスト)氏とのパートナーシップ解消を発表した。