6月に入り、今年の夏の予定を考えはじめている人も多いのではないだろうか。中には海を訪れることを計画している人も少なくないだろう。
しかし、 2022年度の水難事故発生件数は1346件(水難者1640 人、うち死者・ 行方不明者727人)と報告されており、レジャーを楽しむ上での「備え」が極めて重要なことがわかる。
水難事故発生を減少させるため、一般社団法人うみらい環境財団では、日本水難救済会、日本ライフセービング協会とともに日本財団が企画・ 統括する「海のそなえプロジェクト」を始動する。
水辺の危険に関する正しい知識を広げる
日本財団 「海と日本プロジェクト」の一環である本プロジェクトは、日本初の複数団体による水難事故対策防止のためのプロジェクトだ。
「海と日本プロジェクト」では「海と人と人をつなぐ」をテーマに掲げ、「海を学ぼう」「海をキレイにしよう」「海を食べよう」「海を体験しよう」「海を表現しよう」という5つのアクションを通じて、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げている。
また「海のそなえプロジェクト」では、水辺の危険に関する正しい知識を広げると共に、こども世代を中心とした事故対策の普及活動と実地教育での確立を目的としている。
水辺の危険を体験できるコンテンツの開発も
海の備えプロジェクトは5つの取り組みからなる。水難事故に関する意識調査や、VRを用いて水辺の危険を体験できるコンテンツ開発に加え、6月19日(水)には「水難事故防止策の常識を疑う」をテーマにしたシンポジウムも開催されるという。
実施内容は以下の通り。
【水難事故の実態と意識調査】
1 万人以上を対象に大規模調査を実施。併せて教育現場を対象に実態調査を実施し、現状の教育プログラムにおける問題点を洗い出し、意識改革につなげていく。
【水辺の危険を体験できるコンテンツ開発】
毎年繰り返される水難事故は、どのような危険個所で、どのようなシーンやシチュエーションで引き起こされるのか。映像やVRなどの体験によってリアリティを醸成する。
【水難事故防止のために必要な正しいプログラム開発及び全国への普及・定着】
国内の水難教育プログラムの取り組み実体を把握・整理し、現状の問題点を明確化する。新たなプログラム開発の検討と、今後、どのような是正を行い、普及させていくかの方法を検討する。
【命を守るフローティングアイテムの定着にむけた議論】
着用率が低いライフジャケットの問題点はなにか。また、ライフジャケット以外のフローティングアイテムの選択肢を増やし、浮力があることで助かる命、それをどう行動につなげていくかを議論する。
【水難事故防止策の常識を疑うシンポジウム】
これまでの水難防止・救済情報の常識を疑い、何が正しくて、何が有益な対処法なのかを明確にしながら、 調査データの分析をもとに、最新のテクノロジーを駆使して水難事故防止策の新しい常識について議論する。
安全に夏を満喫するためにも、「海のそなえプロジェクト」を通して、海の正しい楽しみ方を学びなおすのも良さそうだ。