ナイジェリア北部カツィナ州で多くの男子生徒が誘拐された事件で12月17日、治安部隊が344人の生徒を救出したとカツィナ州知事が発表した。ロイターなどが伝えた。
アミヌ・ベロ・マサリ州知事は地元テレビ番組で、誘拐された生徒のうち344人が救出された、と説明した。
救出された生徒たちはカツィナ市で家族と再開する予定だが、知事は「ほとんどの少年を救出したが全員ではない」と話しており、全員が救出されたかどうかは明らかではない。
ボコ・ハラムが誘拐を主張
事件はカツィナ州カンカラで12月11日に発生した。
AP通信によると、カンカラにある中等学校に通う生徒たちが武装した集団集団に襲撃され、近くの森に連れ去られた。
生徒たちが誘拐された後、イスラム過激派集団「ボコ・ハラム」のリーダー、アブバカル・シェカウ容疑者を名乗る人物が犯行を認める声明を発表し「ボコ・ハラムは反イスラム的である西洋式の教育に反対して、学生たちを誘拐した」と主張した。
さらに武装組織は17日、ボコ・ハラムのロゴをつけた動画を投稿。
動画の中では、誘拐された生徒たちが「西洋式の教育をやめ、救出のために派遣された政府軍を撤退しなければ命が危ない」と訴えた。
この一週間、誘拐された生徒の親たちは眠れぬ夜を過ごした。
子どもを連れ去られた母親の1人は「こんな時間に外に出たいと思う女性はいません。だけど私たちは子どもたちが心配で、眠ることも、食事を取ることもできません」とAP通信に語った。
治安改善を訴える市民
ロイターによると、救出を実行した治安部隊は、生徒たちが拘束されている場所に非常線を張って、銃撃戦なしで生徒たちを救い出した。
マサリ知事は「子どもたちを安全な方法で解放するために、我々はすでに間接的に連絡をとっていた」「彼らが我々のアドバイスにしたがって、発砲しなかったことを神に感謝する」と語っており、事前に犯行グループと何らかの連絡をとっていた可能性もある。
また知事はCNNに、ボコ・ハラムを名乗る声明を完全に無視はしないが、本当にボコ・ハラムの犯行と決定するにはさらなる証拠必要だと語った。
カツィナ州では、身代金を目的とした誘拐が増加している。
ロイターによると、17日にはカツィナ市で政府に治安改善を求める抗議デモが行われ、「#BringBackOurBoys(私たちの男の子を返して)」というメッセージが掲げられた。
北ナイジェリアの治安向上を訴える市民団体「Coalition of Northern Groups(北部集団連合)」のバララべ・ラフィン氏は、「北部ナイジェリアは、危険な暴徒や、強盗、誘拐者、武装した泥棒、レイピスト、そして様々な犯罪者のなすがままになっている」と訴えている。
ボコ・ハラムは2014年にナイジェリア北東部のチボクで、270人以上の女子生徒を誘拐した。この事件ではいまだに100人以上の生徒たちの行方がわかっていない。