長時間労働や過労死ーー。日本の企業の働き方が問われている。
新入社員の女性が過労自殺した電通は、本社ビルの午後10時消灯を決めた。30代の女性記者が過労死したNHKもそれに続いた。
NHKは12月7日、働き方改革宣言を発表。2018年度から番組スタジオ収録を原則午後10時までにすることや記者の泊まり勤務廃止など、具体的な取り組み目標も盛り込んだ。
宣言では、長時間労働に頼らない組織風土づくりや、効率的な働き方に追求、ワーク・ライフ・バランスの充実など、5つのスローガンを掲げた。
具体的な取り組みは以下の通り
▽番組のスタジオ収録
・原則午後10時での終了を目指す。
▽ドラマ撮影
・原則午後9時までに収録の終了を目指す。大河ドラマは19年放送の「いだてん」から、連続テレビ小説は20年度前期の作品からが対象
▽報道記者
・泊まり勤務の段階的廃止を目指す。大阪や福岡など拠点局を除く地域局が対象で、緊急対応の整備も同時に進める。
・人工知能(AI)やICT(情報通信技術)による定型原稿やテロップを自動作成
NHKの働き方をめぐっては、同メディアの記者だった佐戸未和さん(当時31)が2013年6月の都議選、同年7月の参院選の取材に関わり、参院選の投開票から3日後の7月24日ごろ、うっ血性心不全を起こして急死。14年に労災認定された。
上田会長は12月7日の記者会見で、「佐戸未和記者を失ったことは、悔やんでも悔やみきれない。私を先頭に全員が一丸となって、働き方改革をさらに加速させたい」と述べた。
NHKの発表を受けて、佐戸さんの両親がマスコミ各社に寄せたコメントの全文は以下の通り
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社内で過労死を発生させたことについて深い反省がなければ、どんな働き方改革も取り組みも浸透しません。私たちは、未和が働き方改革の人柱となったと思い、過労死の再発防止と改革の推進を注視していきます。
社員のいのちと健康を守るために、睡眠時間や休日の確保を含めて労働時間をどうきちんと管理していくか、労働時間をどう正確に把握していくか、これらによって長時間労働にどう歯止めをかけていくのか。未和の過労死の反省を踏まえて、これらのことを具体的に改革の中で推進していくことを強く求めます。
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