NHKは12月26日、大晦日放送の紅白歌合戦で星野源氏の曲目を「地獄でなぜ悪い」から変更すると発表した。
「地獄でなぜ悪い」は、園子温氏が監督を務めた2013年の同名の映画の主題歌で、出演している星野氏が園氏からのオファーで書き下ろした。
園氏をめぐっては2022年、同氏から性暴力を受けたと俳優が告発したことが報じられた。そのため、NHKが23日に曲目を発表すると、紅白歌合戦で星野さんが「地獄でなぜ悪い」を歌うことを問題視する声がソーシャルメディアに投稿されていた。
SNSなどでの反応を受け、NHKは26日の投稿で「『地獄でなぜ悪い』に関してさまざまなご意見を頂いております」とコメント。
選曲の狙いについては「今さまざまな時間を過ごしている人たちを勇気づけたいという思いから、楽曲の選定を行い、オファーした」と説明した。
その上で「アーティストはもちろん、NHKも性加害は決して許さないという姿勢であることは言うまでもありません」と述べ、反響を受けてあらためて紅白制作チームとアーティストサイドで協議を行い、曲目を変更することにしたと明かした。
NHKによると、新たな曲は星野氏のデビューアルバムに収録されている「ばらばら」だ。
星野氏も26日、楽曲変更についてのコメントを発表し、その中で「性加害を容認しない」と伝えた。
星野氏によると、「地獄でなぜ悪い」は2012年にくも膜下出血で倒れた後の闘病中に作詞した楽曲で、映画のストーリーを表現したものではなく、個人的な経験や思いをもとに作ったという。
星野氏はこういった曲に込めた思いを説明した上で、性加害が報道された監督の作品の主題歌であることや、映画タイトルと同名であることなどを考えれば、紅白歌合戦で歌うことが二次加害にあたるという可能性を完全に否定できない、という考えを示した。
さらに、紅白歌合戦で歌うことが同番組制作チームの「闘病経験を経て生まれた楽曲で、いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」という意図と真逆の影響を与えるのであれば、自分たちの思いに反するとも説明。
「今回同曲を歌唱することを取りやめることにいたしました。私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません」とつづった。
NHKの曲目変更の投稿には、対応を好意的に受け止める声や「ばらばら」を楽しみにしているというコメントが寄せられている。曲目変更についてのNHKのコメント全文はこちら。