新型コロナウイルス対策の「切り札」とされるワクチンを一般の人はいつ打てるのだろうか。
9月までにすべての対象者にワクチン「供給」
菅首相は4月23日の記者会見で、「先般の訪米では、アメリカ・ファイザー社のCEOに要請し、本年9月までにすべての対象者に確実に供給できるめどが立った」と述べている。
「ゴールデンウィーク明けまでには、約700万回分。それ以降は毎週約1000万回分を全国の自治体に配布し、6月末までには合計1億回分を配布できるようにする」と強調した。
日本はファイザー製のワクチンを確保する際、EU圏内から輸入する。ファイザーがEU圏内で製造しているためだ。
Bloomberg(4月22日付)によると、EUは1月31日から4月19日までの間に、43カ国向けに1億3610万回分のワクチン輸出を許可しているが、約3分の1にあたる約5230万回分が日本に出荷されたと、内部文書を基に特報した。
このニュースについて、ワクチンの供給を担当する河野太郎大臣は、約5230万回は実態よりも多く数値が合わないと4月27日の会見で否定したため、Twitterなどで混乱が起きていた。
ただ、政府関係者によると、これまで河野大臣や菅首相が明言していた通り5月のゴールデンウィーク明けから「週1000万回分は実質的に確保」しており、供給に問題ないという。
供給の目処はたったとしても、いつ接種?
日本では、医療従事者に続き、4月12日から高齢者約3600万人の優先接種が一部の地域で始まっている。しかし、ワクチンは自治体に徐々に供給されているというものの、高齢者でも始まっていない自治体はなお多い。内閣府によると、対象の3600万人のうち約7.5万人(4 月25日時点)で約1%未満に過ぎない。
政府がいうワクチン「確保」や「供給」の話と、実際に打てるかという「接種」の話は異なる。接種は、国の指示を受けて、都道府県が調整し、市区町村が実施しているからだ。
9月末までにワクチン確保にメドがたったとしても、具体的に一般の人がいつ打てるのかわからないのは、それが理由の一つでもある。
接種がすすまない都市部の現状について、第4波がきているところを中心に接種を早めるべきという議論も起きている。そうした中、政府は、国が主導して国の施設でも接種を可能とする方向だ。
内閣府によると、東京や大阪で、5月中にも1日あたり1万人規模で接種できるようにしたいとし、接種の迅速化を図る。
対象者は、都内在住者や都内に通勤する人を想定している。大阪についても同様だ。
例えば、東京都中央区在住の人が、中央区からワクチンクーポンが送られてきたら、中央区の指定する会場でも、国の接種会場でも自ら選んで受けられるようになるという。
河野大臣は4月27日の会見で、東京で大規模な接種センターを5月24日から3ヶ月間運営すると発表した。
接種をする医療従事者は、医師や看護師の資格を持つ自衛官が対応する。3ヶ月限定にしたのは、「自衛隊の医官、看護官に出てもらうために無期限というわけにはいかない。そのため期限を切ってということです」と説明した。
また、河野大臣は4月26日夜、テレビ朝日の報道ステーションに出演し、大規模会場では、ファイザーではないワクチンを使うことを示唆している。
現在日本に入ってきているファイザー製のワクチンと、これから入ってくるアストラゼネカやモデルナのワクチンは、保存温度や2回目接種の時期が異なる。
混乱を起こさないために「新しいワクチンが来た時には、今の自治体のファイザールートと別のルートを作っていかなければいけないと思う」とし、「今打ってるお医者さんには、自治体でそのまま打って頂くことになりますので、今(ファイザーのワクチンを)打っていないお医者さん、看護師さんに集まってもらい、2番目のルートをしっかりやるということを考えてます。その一つが国の大規模接種になる可能性があります」と述べた。