小惑星探査機「はやぶさ2」を離れたカプセルがオーストラリア南部の砂漠に着地したと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月6日未明、発表した。はやぶさ2の本体は、12月5日にカプセルを分離後、新たな小惑星探査に向けすでに再出発している。次のミッションは、11年後の2031年7月に予定されている。
オーストラリアの現地で待機していたJAXAのチームは午前4時47分、ヘリコプターではやぶさ2が分離させたカプセルを発見し、同7時32分までにカプセルを回収した。
JAXAなどによると、2014年12月に地球を出発したはやぶさ2は2019年2月と7月にりゅうぐうに着陸。地表だけではなく地中の砂をカプセルに取り込んだとみられている。月より遠い天体の地中にあった砂を持ち帰れば世界初の快挙だ。専用の密閉容器に入れられたカプセルの中身は、早ければ8日にも日本に到着する見通しで、12月なかばには採取量がわかるという。
りゅうぐうの砂が含む物質を調べれば、太陽系の成り立ちの手がかりや地球の生命の由来の端緒がつかめる可能性がある。
はやぶさ2本体は、カプセルを切り離したあと、地球から離れた。次のミッションに挑むためだ。地球と火星の間を回る小型の小惑星1998 KY26に接近して探査するミッションで、11年後の2031年7月に予定されている。
初代はやぶさも、当初の計画では、カプセル切り離しの後、そのまま飛行を続ける予定だった。だが、「度重なるトラブルではやぶさは満身創痍」で、本体ごとの大気圏再突入の措置がとられ、はやぶさ本体は大気圏で燃え尽きた。
公式サイトでは、毎秒変わるその数値で、はやぶさ2が次の任務へ向け、ぐんぐん地球から離れていっているのがわかる。はやぶさ2は、12月6日午前10時すぎ時点で、地球から約15万5千キロの位置にいた。
目指す小惑星1998KY26は、平均直径が約30メートル、約10.7分に1回転で自転する。約900メートルのりゅうぐうと比べて小さく、高速自転する小惑星のミッションは、未知の領域だ。はやぶさ2の打ち上げから17年近く、長期にわたって探査が続くことになり、探査機の想定寿命を超えるものになる。
はやぶさ2が地球に、カプセルという「お土産」を落としてくれた映像は公式サイトで見ることができる。
2020年12月6日 2時29分頃(日本時間)にオーストラリアのクーバーペディ付近で撮影されたものだ。真っ暗な夜空に、右から左に動く光の点が見える。「はやぶさ2」再突入カプセルのリエントリー時の画像だ。大気中を通過するときに火球のように光っている。
野口聡一さんも宇宙からはやぶさ2の「勇姿」を目撃したという。
(ハフポスト日本版・井上未雪)