中国内陸部の湖北省武漢で2019年12月以降、原因不明の肺炎の患者が相次いでいる問題で、日本やタイでも新型のコロナウイルスが検出され、感染拡大が懸念されている。
世界保健機関(WHO)は1月14日、中国当局からの情報提供を受け、中国の武漢市で発生している原因不明の肺炎の患者から検出されたウイルスは、新型のコロナウイルスと確認されたと明らかにした。
コロナウイルスは、深刻な大流行を起こしたSARS(サーズ)やMERS(マーズ)を引き起こす病原体で、今回の新型はこうしたコロナウイルスと多くの共通点があるという。
今回の肺炎は、これまでに武漢市で41人が発症し61歳の男性1人が死亡している。
患者は、同市中心部の海鮮市場(華南海鮮城)に出入りする人々がほとんどで、3日以降は中国で新たな患者は確認されていない。
■日本にも初上陸 タイでも確認
日本では16日、国内初の患者が確認された。患者の30歳代男性は、武漢市への渡航歴があるという。厚生労働省によると、男性は武漢市の海鮮市場には立ち寄っておらず、中国で肺炎患者と濃厚接触の可能性があるという。国立感染症研究所で検査で確認された。
13日には、タイを観光で訪れていた武漢市の女性も感染していたことが確認されている。
■厚生労働省「一般的な感染症対策を」
16日午前に開かれた厚生労働省の緊急会見では、通常の生活をしている人への感染リスクは現時点では低いのではないかとしている。
「(今の季節は)風邪などいろいろ流行るが、一般的な感染症対策をしっかりして、過剰な心配をしないように」と呼び掛けた。関係者によると、一般的な感染症対策とは、咳が続く人はマスクをつけたり、石鹸で手を洗ったり、うがいを心がけたりすることだという。
■WHO 「現在は、対処療法のみ。水際対策の徹底を」
世界保健機関(WHO)によると、肺炎患者の治療法については、現在のところ対症療法しかないとしている。新型ウイルスの発生や、人にどのように感染するのかは調査中だ。人から人への感染については、WHOは今後も分析が必要だとしている。
現状がわからない現時点では、WHOは、国は旅行や国際などで人が移動する際に、感染者を水際で阻止することに傾注するよう指摘している。