麻薬取締法違反の疑いで沢尻エリカ容疑者が逮捕されたことをめぐり、薬物依存症の患者の社会復帰を妨げないようにしよう、と訴える署名運動が始まった。
署名運動は、「NHKは大河ドラマ『麒麟がくる』の沢尻エリカさん収録分を予定通り放映してください」と題され、change.orgで11月18日に始まった。NHKに提出する予定だ。「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さんが発起人。
署名には、映画監督の白石和彌さんも賛同者として名を連ねている。
白石さんは2019年、麻薬取締役法違反で逮捕されたピエール瀧さんの出演作『麻雀放浪記2020』を監督した。一時は公開が危ぶまれたが、配給会社の東映はノーカットでの上映を決めた。白石さんは作品の自粛について、「様々なパターンで検討するべきだと思う」とハフポスト日本版のインタビューで答えていた。
「依存者が社会的に抹殺されてしまっている」
田中さんは「依存者が社会的に抹殺されてしまっています」と訴える。例えば、NHKが、沢尻さんが出演予定だった大河ドラマの公式ホームページの一部を消去したことについて「あったことをなかったことにする。存在自体を消すというのは社会的抹殺だ」と話す。
影響力のある人が、薬物に関わった芸能人を、『一発アウト』や『自分に甘いだけ』などとテレビでコメントすることについて、「薬物事件を起こした芸能人に対し、吊るし上げや辱めを与える状態では根本的な問題の解決に至らない」と田中さん。
依存者が辛い治療を乗り越えて社会復帰するためには、「復帰しても居場所はあるよ」「回復後の道があるよ」と伝えることが重要だという。田中さんは「薬物依存からの脱却には『社会的な支援の手』が必要なのに認識されていないまま。刑事罰で罰しただけでは、改善できないものです」と指摘する。
今回の署名活動で「薬物依存が回復した時には、能力を発揮できる場を用意しています」というメッセージを伝えたいとしている。