関東鉄道は、常総線用キハ5000形のマイナーチェンジ版といえる新型車両キハ5010形が2017年2月に登場。必要な教育、検査を行なった末、搬入からわずか1週間後の2月25日にデビューした。
■特徴的なカラーリング
ポスターでデビューを予告するも、デザインなどについては明かさなかった。
キハ5010形でもっとも注目すべき点は、カラーリングだろう。常総線の駅に掲示されたポスターでもシルエットしか描かれておらず、"今までとは違う"ものを感じさせたほか、甲種輸送でも下半分をホワイトで隠すほどの徹底ぶりで、レールファンにとってもサプライズを期待させるものがあった。
イベント終了後、水海道12時53分発の各駅停車取手行きより営業運転を開始。
デビュー当日の12時30分過ぎ、水海道にキハ5010形が姿を現した。車体は光線によって微妙に色調が変化する関鉄ホワイトをベースに、沿線の鬼怒川と小貝川をイメージした青、豊かな大地に波打つ稲穂をイメージした黄色を身にまとった。
カラーリングに調和した筑波山のステッカー。
車体側面には、新緑の筑波山をイメージしたステッカーが貼付され、アクセントとしている。既存の車両に比べると、明るさが強調され、鮮烈に映る。
ディーゼルエンジンは実績のあるコモンレール式で、13,000㏄から11,000㏄にサイズダウンしつつ、キハ5000形と同じ性能を維持できるので、軽量化と燃費向上の両立を図った。また、トラックやバスで標準装備されている排気ブレーキも搭載し、電車でいう「抑速ブレーキ」の役割を果たす。
台車はキハ5000形などと同じボルスタレス式で、関東鉄道の車両では初めて耐雪ブレーキを装備し、冬季の安全運行に万全を期した。
■吊り手が特徴の車内
キハ5010形の車内(関東鉄道提供)。
車内のレイアウトはキハ5000形を踏襲しつつ、運賃表を従来のデジタル数字からLCDに、室内灯を蛍光灯からLEDにそれぞれ変更。また、乗降用ドアが容易に識別できる黄色のフィルムを貼付、その上に開閉を知らせる赤いドアランプの設置がそれぞれ行なわれた。
非常ハシゴは厳重に管理されている。
そして、異常時に備え非常ハシゴを1台搭載し、下館寄りに設けられたボックスに収められている。
目新しい2段式吊り手。今後の普及に注目したい。
目新しいのは、大半の吊り手の位置を低くしただけではなく、身長に関係なくつかみやすいよう、2段式にしたこと。このタイプは静岡鉄道のA3000形電車で実績があり、気動車では初採用となる。
関東鉄道によると、今後の増備については未定だという。
安全対策が強化されたキハ5010形2両の投入に伴い、2017年3月4日から日中時間帯の全線走破列車(取手―下館間)を増やすとともに、取手―水海道間の区間列車も含め、単行(1両)運転を基本とした。実際、複線区間の単行列車に乗ると、席が埋まる程度の乗車率なので、現実を直視した形と言える。それでも運転本数を維持したのだから、"御の字"と言えよう。
【協力:関東鉄道】