アルゼンチンで発掘調査をしていた古生物学者たちが、新種の恐竜の化石を発見した。
新たに見つかった恐竜に付けられた名前は「Llukalkan aliocranianus」。Llukalkanはマプチェ語で「恐怖をもたらすもの」を意味し、aliocranianusはラテン語で「珍しい頭蓋骨」を意味する。
科学誌「Journal of Vertebrate Paleontology(古脊椎動物学誌)」に3月30日に掲載された研究によると、化石はアルゼンチンのリオネグロ州とネウケン州に広がる岩場、バホデラカルパ層で見つかった。
この恐竜が存在していたのは8000万年前で、白亜紀に食物連鎖の最上位にいたアベリサウルス科の肉食恐竜だと考えられている。また、外見は大きな後ろ足と小さな前足を持つ、ティラノサウルスに類似していたとされる。
しかし、この恐竜の頭蓋骨は非常に珍しい作りをしており、トサカや角、その他の突起物があった。こういった突起物は、イグアナやアメリカドクトカゲに類似している可能性があるという。
そして頭蓋骨の分析から、ほとんどのアベリサウルス科の恐竜より聴力が発達していた可能性もわかっている。
研究の筆頭著者で、サンルイス国立大学の古生物学者フェデリコ・ジャナチニ氏は「この恐竜の独特な点は、耳のエリアに他のアベリサウルス科の恐竜にはない空洞があることです。そのため、優れた聴覚能力を持ち、広範囲の音を聞くことができた可能性があると思います。この聴覚能力と強い嗅覚で、肉食動物としての優れた能力があったのではないかと考えられます」と、CNNに語っている。
今回、Llukalkan aliocranianusの化石が見つかったのは、2016年にアベリサウルス科の別の恐竜ヴィアヴェナトルの化石から見つかった場所からわずか700メートル離れた場所だった。
これまでの化石調査から、アベリサウルス科の恐竜が絶滅寸前まで繁栄していたことがわかっている。
「これらの恐竜は、新たな進化を遂げようとしていました。そして絶滅する直前まで、急速に多様化していました」と共同研究者のアリエル・メンゼス博士は、プレスリリースで説明している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。