「月末は請求書の処理に追われて本来の業務に手が回らない」
「営業と経理担当の間で細々とした確認作業が頻発する」
「まだ事業規模が小さく、経理業務を外注する余裕はない」
そう悩みながらも毎月の経理業務に時間を取られている人は決して少なくないだろう。だが、事業を成長させていくためにリソースを割くべきポイントは、本当にそこでいいのだろうか?
株式会社DONUTSもまた、そんな悩みを抱えていた。
ゲームからクラウドサービス、動画・ライブ配信、医療、出版メディアまで、多彩かつ幅広い事業を手掛けながら成長してきた同社は、月末に膨大な数の請求業務が発生する。特に創業から間もない頃は、大量の請求処理に追われることは毎月末の恒例行事だったという。
そんな負担の大きい経理業務を抱えながら、株式会社DONUTSのクラウドサービス「ジョブカン」は、2012年以降、前年比500%という驚異的な成長を続けていた。その高い成長率を支える要因のひとつになったのが、株式会社ネットプロテクションズが展開している企業間決済サービス「NP掛け払い」の導入だ。
2021年度には「日本で8社に1社が使っている決済(※1)」となったNP掛け払いを先駆けて導入したことによって、社内にどのような変化が起きたのか? 導入に踏み切った背景は? 株式会社DONUTSジョブカン事業部の石山瑞樹さんと佐藤聡子さんに聞いた。
経理と営業、それぞれが抱えていたストレス
ジョブカン事業部がNP掛け払いのサービスを導入したのは2015年1月。クレジットカードを除く請求書発行先が300社を超え、毎月の請求処理に手が回りきらなくなってきたタイミングだった。では、それ以前の同社の経理業務はどのような課題を抱えていたのだろう。
石山さん
「当時は経理を担当していたパート社員が1名のみで、営業アシスタントがそのカバーをするような形で月末の3~4日間は集中的に忙しくなっていたんですね。締め終わってから請求を出すまでの数日間は、当然ながら残業続きです。我々、営業スタッフ5名全員が封入作業などを手伝いつつ、なんとか終わらせるような状況が2014年末までずっと続いていました」
毎月末に必ずやってくる膨大な請求業務は、経理担当にとって長年の課題だった。加えて、営業部はまた別の課題を抱えていた。石山さんは当時を次のように振り返る。
「未入金の回収に関する作業に、思いのほか時間を取られていたのです。例えば、月末に入金をしてくれない取引先がありますよね。営業担当はその会社に『この期日までに入金をお願いします』とメールを送らなければなりません。
さらに、期日になったら入金されているかどうかを確認し、未入金であれば再度催促をしなければならない。それでもなお回収しきれない取引先には、期末のタイミングで再び回収作業をせざるをえません。こんな風にストレスがたまる未回収が全体の請求の5~10%程度ありましたから、営業担当にとって大きな負担になっていました」
月末に過集中する経理業務と、回収作業に振り回される営業業務。両方の課題とストレスを一挙に解決する手段として見出したのが、「NP掛け払い」だった。
経理業務に割く時間が3割減に
だが2010年代前半から、決済サービスは各社から複数展開していた。そんな中で「NP掛け払い」を選んだ理由はどこにあったのだろう?
石山さんは、当時、導入に踏み切った理由を「一気通貫で請け負ってくれたところ」だと明快に言い切った。
「請求書の発送サービスや収納代行など、個別のサービスは当時も各社から色々出ていました。けれども、それぞれが連携されてはいない。我々としては請求書発行から入金確認、代金回収まで全部をまるっとアウトソーシングしたかった。そう考えると、NP掛け払いが最も合理的な選択でした」
プロの回収能力は段違いだった
では、実際にNP掛け払いを導入して7年目となる現在までの間、最も大きな手応えを感じた部分はどこにあったのだろう?
石山さん
「一番すごいと思ったのはNP掛け払いの入金回収率の高さです。もうプロの回収能力なんですよ。素人の僕らがやるより回収率が段違いですし、実際に入金額も上がりました。もちろん回収できなくても保障してくれる点がNP掛け払いのメリットでもあるのですが、そもそもの回収率が高い」
手数料というコストと、回収というベネフィット。両者を秤にかけた上でも明らかに価値があったと石山さんは言う。
「もちろん手数料は発生しますが、そもそもクレジットカードの請求も手数料がかかることを踏まえたら、ネックになる額ではまったくありません。事業規模が小さくても、導入するメリットはあると思います」
2年前から請求業務を担当している株式会社DONUTSの佐藤さんにとっては、「経理業務=NP掛け払いでCSVデータをアップロードすること」が基本だという。
佐藤さん
「ここまでの石山の話を聞きながらNP掛け払いがない状態で担当していたらどれだけ大変だったんだろう、と考えてぞっとしました(笑)。弊社が先月、NP掛け払いにお願いした数は1万3000社を超えています。その一件ずつに請求・回収をするとなると、小さいけれども大量の雑務がついてまわりますよね。
また、弊社ではクレジットカードの未入金は自分たちで管理しているのですが、そこでもやはり全サービス含めて、毎月数百件ほどの未回収が発生しているんですね。カードの期限切れも含めるとどうしてもそれくらいの数は発生してしまうのですが、NP掛け払いだと未回収案件は月に10件あるかないかです。この数の違いだけでも、サービスとしての質の高さを感じます」
請求業務に時間を取られている状態は、すごくもったいない
与信、請求書発行、代金回収、入金確認催促までの業務を一括してアウトソーシングした結果として、営業の業務効率も著しく上昇したという。本来のコア業務に集中できるようになったからだ。
石山さん
「営業が本来の業務に割ける時間が2割ほどアップしました。裏返せば、それまでどれだけ未回収や入金・確認作業に関する業務に時間と労力を割かなければならなかったのか、ということですよね」
佐藤さん
「請求業務って会社の中ではすごく大事ですよね。ですが、弊社メンバーにとって請求業務とは、事務局からあがってきたデータをNP掛け払いに送信する、それだけなんです。知識が必要ないから誰でもすぐにできますし、システムとしてきちんと可視化されているため不正が入り込む余地もありません。そういう意味でも安心感も大きいですね」
石山さん
「経理業務ってしっかりした専門知識によって成り立つものですよね。ですから、きちんとした専門知識を持つ経理の方が煩雑な請求業務にばかり時間を取られている状態は、会社的にもすごくもったいないなと思ってしまいますね。企業にとっても人にとっても、全方位的に機会の損失ではないでしょうか」
***
これまでの「当たり前」を見直せば、企業はさらに成長できる。
「NP掛け払い」のシステムを上手く活用し、経理業務をアウトソーシングすることで飛躍的な事業成長を遂げたDONUTSの事例はまさにそれを体現している。膨大なバックオフィス業務に振り回されることがなくなり、経営基盤が安定すれば、すべての社員は本来注力すべきコア業務に集中できるようになるのだから。
「良いプロダクトを届けたい」「この新しいサービスをもっと世に広めたい」
そんな風に明確なミッションとビジョンが見えている企業ほど、どこにどうリソースを割くべきかは明らかだ。経理は事業運営の根幹に関わる重要な業務だ。だからこそ、“プロ”にアウトソーシングすることには合理性があるのではないだろうか。
「NP掛け払い」の詳細はこちら
(執筆:阿部 花恵)