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日本列島は5月16日、広い範囲で晴れ、日中にグングンと気温が上がる予報が出ている。
そんな中、気をつけたいのが、熱中症だ。
毎年多くの人が亡くなっているが、夏本番を迎える前も油断できず、今年は5月1〜7日の1週間で500人弱が救急搬送されている。
命を守るために、この時期からできることは何か。熱中症対策を呼びかける関係団体の資料をもとにまとめた。
危険な暑さといっても過言ではない
日本気象協会(東京)によると、5月16日は気温が上がり、17日はさらに暑くなる。
東京都心や仙台は今年初めて30度を超える可能性があり、関東では18日にかけて35度以上の猛暑日となる所もありそうだ。
前日(15日)と気温差がある地域では、5月だからといって油断せず、熱中症を警戒する必要がある。
同協会は「真夏ほど湿度が高くはないとはいえ、身体はまだ暑さに慣れていない時期」と指摘。「5月にこれだけの高温は危険な暑さといっても過言ではない。定期的な休憩やこまめな水分補給が欠かせない」としている。
熱中症の症状と原因は?
三宅康史・帝京大学医学部教授が監修する「日本気象協会推進『熱中症ゼロへ』プロジェクト」(東京)によると、熱中症は「高温多湿な環境に体が適応できないことで生じる様々な症状」の総称のことを言う。
主な症状としては、
- めまい・顔のほてり
- 筋肉痛や筋肉のけいれん
- 体のだるさや吐き気
- 汗のかき方がおかしい
- 体温が高い・皮膚の異常
- 呼びかけに反応しない・まっすぐ歩けない
- 水分補給ができない
がある。
では、人間はなぜ、熱中症になってしまうのだろうか。
人間の体温はほぼ36度台を安定して維持している。
汗をかいたり、体の表面から熱を空気中に逃したりすることで、37度を超えないようにしているが、例えば高温多湿の環境で普段以上に運動・活動すると、体がどんどん熱くなって汗をかき、体の水分が減っていく。
体の水分が減ると、体内の熱をうまく体表に運び出せないばかりか、汗もかけず、37度以下に保っていた体温が徐々に上がる。
37度以下で一番うまく働く脳を含めた重要臓器は、体温が高くなることで機能しづらくなる。
また、汗をかいて体から水分が減ると、脳や肝臓、筋肉などに十分血液がいきわたらなくなるため、筋肉がつったり、意識を失ったりする。
つまり、体温上昇による臓器の機能低下と血流の滞りによって、体の調子が悪くなり、熱中症が引き起こされるということだ。
5月に死者も
熱中症になるリスクがあるのは真夏だけではない。
総務省消防庁のデータでは、2022年(5〜9月)に熱中症で搬送された人は計7万1029人で、そのうち2668人が5月だった。
また、搬送後に熱中症で死亡した人は22年、計80人だったが、5月も4人が死亡した。5月の死者は16〜22年(調査データがない20年を除く)の6年間で計16人に上っている。
今年も救急搬送が相次いでおり、5月1〜7日の7日間で495人が搬送された(速報値)。
暑熱順化で対策を
夏本番に向け、今からできる対策はあるだろうか。
同プロジェクトは、重要な熱中症対策の一つに、体が暑さに慣れる「暑熱順化」を挙げる。
暑熱順化がすすむと、発汗量や皮膚血流量が増加し、発汗による気化熱や体の表面から熱を逃がす熱放散がしやすくなる。
個人差はあるが、暑熱順化には数日から2週間程度かかる。
次のような運動をすれば、体が徐々に暑さに慣れていくという。
・ウォーキング1回30分・ジョギング1回15分(週5日程度)
・サイクリング(1回30分、週3回程度)
・筋力トレーニングやストレッチ(1回30分、週5日〜毎日)
・入浴(シャワーだけでなく、湯船につかる)
気温や湿度に気をつけながら運動を
一方、前述の通り、5月でも熱中症で搬送される人は多く、死者も出ている。
この時期は体が暑さに慣れていない可能性もあるため、運動は暑くない日を選んだり、水分や塩分を適宜補給したりして行う必要がある。
同プロジェクトのホームページでは、「暑熱順化チェック」で体の状態を確認できるようになっている。
同プロジェクトは、「暑熱順化ができていない可能性の高いタイミングの2週間前を目安に、暑熱順化するために運動や入浴を行うようにしましょう」と呼びかけている。