Facebookで見かけた、このブローチ。とてもリアル。
モデルがいた。高知県四万十町の写真・映像作家の高橋正徳さん。
つくったのは、高橋さんの友人で、高知県須崎市で川村雑貨店を営むイラスト・造形作家のかわぞえうどうさん。「まさのりくんブローチ」という名前も付いている。
しかし、高橋さんのお顔をなぜバッジに?
新聞社で長く写真記者だった高橋さん。赴任先で訪れた高知県で暮らすうち、豊かな自然や住んでいる人たちが大好きになり、会社を辞め、ここで暮らすことに決めた。2年前、高知で知り合ったパートナーと結婚することになり、仲のよい人たちを招いてお披露目のピックニックをした。
このとき、友人のかわぞえさんがお祝いの気持ちを込めて作ったのが「まさのりくんブローチ」だ。スキンヘッドにめがね顔、ひげ面の高橋さんの風貌が「インパクトがある」と思ったかわぞえさんは、ブローチにしてみたらどうだろうと粘土で作った。ピクニックで20個余りを作って売ると、来場客があっという間に買い、高橋さんの手元にも1つしか残らなかった。
「まさのりくんブローチ」は結婚記念品として誕生したが、今年復刻版が作られた。
きっかけは、高知県土佐市の「もりたうつわ製作所」で開かれている「メンズブローチ展」(10月28日まで)。
「まさのりくんブローチ」があまりに好評だったので、かわぞえさんは展覧会にあわせて作ることにした。
木からできた粘土で顔を作り、人形を乾燥させ、一度黒く塗った上で肌色を重ねた。ざらつきのある風合いが味を出している。
かくして、20人分のまさのりくんブローチ復刻版が、再び展示会で並び、人気を集めている。
高橋さんは「この2年で自分は太って日に焼けたけど、ブローチもちゃんとそれが反映されていた」と話す。
「メンズブローチ展」には、かわぞえさんのほかに16人の作家が作品を寄せている。
もりたうつわ製作所の所長で陶芸家の森田浩路さんは、展覧会の狙いについて自身のFacebookで「嫁や女友達が日々いろんなブローチを付けてて、羨ましいな〜。男でも気軽に付けれるのないかな?というところから始まりました。圧倒的に女性のお客様が多い中、たまに男性が購入されるのを見ると、心の中でガッツポーズをします」と説明する。
メンズブローチ展でブローチを楽しむ、ブローチメンたち。