4月22日は、地球環境について考える日として提案された記念日「アースデイ」です。
1970年にアメリカで始まったこの運動は世界中に広がり、人々の生活が環境に与える影響や環境保全への取り組みの重要さを見直し、行動するきっかけとなっています。
ナショナル ジオグラフィックは、2025年4月のアースデイに、地球の美しさと生命の驚きの物語を体験するドキュメンタリーシリーズを特別編成「アースデイ WITH ナショナル ジオグラフィック」として放送。
本記事では、4月22日にTV初放送される『ペンギンのひみつ:過酷な世界を生きる術』の見どころを紹介していきます。

見どころ①:父親ペンギンたちの団結
コウテイペンギンといえば、「子育て」をイメージする人もすくなくないのでは。
コウテイペンギンは他の生物がまったくいない南極の冬に、氷の上で子育てをします。
本作『ペンギンのひみつ:過酷な世界を生きる術』でも、その過酷な子育ての一部始終が美しい映像とともに語られています。
足の甲のうえに卵を乗せ、ヒナを寒さから守るメスペンギン。その隣にはパートナーのオスペンギンが寄り添っています。
「せーの」で卵を受け渡すと、ここからは父親であるオスペンギンが卵を抱いて守ります。
マイナス48度。極寒の世界。
卵を氷の上に60秒以上置いてしまえば、中のヒナは死んでしまいます。
過酷な環境からヒナを守るため、卵を抱えたオスペンギンたちは1箇所に集まります。
およそ5000羽いる父親たちの群れ。まさに、自然の神秘。驚くべき光景です。

ペンギンたちはお互いにできるだけ近づきますが、触れるのは羽根の先だけ。羽根は断熱材のような働きをし、暖かい空気の層をつくります。
しかし、羽根を押しつけあえば、暖かさは失われてしまいます。ほんの数ミリだけ離れて立つことで、互いに熱を共有できるのです。
中心の温度は、なんと37度にも達するといいます。
本作では、この群れの動きから明かされた、コウテイペンギンの驚きの真実が語られます。
密集した父親ペンギンたちは、小刻みに動きます。
その動きは、まさに波のよう。
中心に押し寄せるのではなく、一歩一歩離れていく。そうすることで、後から来た父親と卵も順番に温まることができるのです。
必要なものを独り占めしなければ、みんなが助かる――。コウテイペンギンの父親たちは、それを知っているのです。
見どころ②:愛らしいヒナの「決死の大ジャンプ」
生後数カ月のコウテイペンギンたち。
その体には、ふわふわした羽毛がまだらに残り、まだ成長途中であることがうかがえます。
愛らしいヒナたち数百羽が集まっているのは、高さ約15メートルにものぼる南極の棚氷。
空腹に駆られたヒナたちは、それぞれ崖の縁をのぞき込んでいます。まるで、この高さから南極の海に飛び込んでも大丈夫かな? そんな考えを巡らせているかのようです。
そうこうしていると、1羽のヒナが海へ飛び込みます。

他のヒナたちも徐々に後を追い、翼をはためかせながら、次々と飛び込んでいきます。
制作スタッフは、西南極のウェッデル海の端にあるアトカ湾で、ドローンを使い、この非常に珍しい光景をとらえたそうです。
科学者によると、コウテイペンギンのヒナがこのような高い崖から飛び降りる様子を映像でとらえたのは初めてだといいます。
本編ではこのほか、羽毛に包まれたヒナたちが危険を冒して溶けかけの海氷を渡る様子や、群れからはぐれてしまった一際小さなヒナが奮闘する様子など、涙なしには観られない大冒険の数々が収録されています。
愛らしいヒナペンギンたちのたくましさから野生生物の尊さを感じ、心揺さぶられること間違いなしです。
筆者もヒナたちが勇敢に危険に立ち向かう様子に、手に汗握りつつ勇気づけられ、懸命に生きる姿には生き物としての矜持を感じ、涙が込み上げました。
見どころ③:ジェームズ・キャメロン製作総指揮。豪華スタッフが解き明かす、ペンギンの秘密
『ターミネーター』シリーズや『アバター』シリーズなどで知られる、カナダ出身の映画監督であるジェームズ・キャメロンさんが製作総指揮を執った『ペンギンのひみつ:過酷な世界を生きる術』。
ストーリーテラーは、世界を駆け巡り、野生動物たちの撮影を続けている英国出身のワイルドライフ フィルムメーカーで、ナショナル ジオグラフィック エクスプローラーのバーティ・グレゴリーさんが務めています。
およそ2年の歳月をかけて製作された本シリーズは、私たちがこれまで見たことのないペンギンの新たな一面を明らかにしています。
最先端のテクノロジーと世界トップクラスの科学調査を駆使して、南半球の危険地帯を住処とするペンギンの秘密を解き明かしていく。その壮大な映像は、まさに圧巻です。
地球でもっとも寒く、暗い冬。
その壮絶な環境を一致団結して乗り越え、命をつないでいく――。ペンギンたちの姿には、私たち人間が学ぶべき「助け合いの精神」が宿っているようです。

地球環境について一緒に考えてみませんか?
コウテイペンギンは通常、最終的に溶けてなくなる海氷の上で繁殖をします。ところが近年では、陸にしっかりと張り付いた棚氷で繁殖するペンギンの群れが見受けられるといいます。
海に飛び込むには高さがあり危険な棚氷で暮らす理由として、気候変動の影響で海氷が溶ける時期が早まっているためだという仮説が一部の科学者たちから出ているそうです。
作中でも高さ約15メートルの棚氷から海へ、ヒナが飛び込む瞬間がとらえられていました。
南極大陸の海氷が減少し続けることで、より多くのコウテイペンギンが棚氷で繁殖せざるを得なくなり、その結果、将来的にこのような行動がより一般的になる可能性があるといいます。
地球環境について考える記念日である「アースデイ」。
尊い野生生物たちが、持続的に命をつないでいくことができる。そんな地球環境を保つために何ができるのか? 『ペンギンのひみつ:過酷な世界を生きる術』を観ながら、考えてみてはいかがでしょうか。

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<放送情報> 特別編成「アースデイ WITH ナショナル ジオグラフィック」
Part1 4/19(土)、20(日) 11:00~16:00
ナショジオが誇る作品の中から、野生のカワウソとある夫婦との心温まるドキュメンタリー『小さな島の愛と絆のカワウソ物語』、グリーンランドの急速な気候変動調査に迫る『前人未到!過酷なアークティック・リサーチ』、見えない絆で結ばれた夫婦の愛、そして地球への愛に溢れた作品である『WILD LIFE 大自然への讃歌』など野生動物や自然への探求心や敬意、愛情を掻き立てられるラインナップをお届けします。
Part2 4/22(火) 20:00~23:00
アースデイ当日には、『ペンギンのひみつ:過酷な世界を生きる術』を3話連続でTV初放送します。
ナショナル ジオグラフィック(TV)は、ケーブルテレビや衛星放送(BS/CS)で放送中。