アメリカのテニススター、セリーナ・ウィリアムズの米ファッション誌ハーパーズ・バザー掲載のエッセイが話題を呼んでいる。
エッセイの中で彼女は、2018年に大きな議論を起こした2018年USオープンでの大坂なおみとの決勝を振り返っている。
問題となった決勝では、セリーナのコーチがスタンドから指示を出していた、との主審からの警告に抗議。その後も、彼女がラケットを叩きつけた行為にペナルティを受けた際も主審に暴言を吐き、さらにペナルティが科され、荒れた試合に。観客もセレーナの味方に付き、最終的に優勝した大坂なおみからスポットライトを奪うような形となった。
今回のエッセイの中でセリーナは、大坂なおみに送ったEメールの内容を公開した。
ヘイ、なおみ!セリーナ・ウィリアムズです。コートでも話したとおり、私はあなたの事をとても誇りに思っていて、本当に申し訳ないと思っています。
自分の意見を主張し、正しいことをしていると思っていました。まさかメディアが私たちを対立させるとは思っていませんでした。できるならばあの瞬間をもう一度やり直したい。
私は今も、あの時も、これからも、あなたの成功を喜び、サポートしています。私は決して、絶対に、他の女性から...黒人女性アスリートなら特に、スポットライトを反らすようなことはしたくありません。
あなたの将来が待ちきれません。そして大ファンとしていつも試合を見ますから!あなたにとって今の、そしてこれからの成功だけを願っています。
最後にもう一度、あなたをとても誇りに思っています。
All my love and your fan, セリーナ
これに対し大坂なおみからは「人は怒りと強さを誤解することがあります。その2つの区別がつかないから」「あなたのように自身の為に立ち上がった人は誰もいません。その道を拓き続けてください」と返信があり、セリーナはそれを読んで涙を流したという。
エッセイの中でセリーナは、「最終的に、対戦相手(大坂なおみ)はその日、私より良いプレーをし、彼女にとって初めてとなるグランドスラムのタイトルを手に入れました」と話し、逆に彼女は自分の人生を捧げてきたスポーツに裏切られた気持ちになった、と話した。
試合のあと彼女は、失望や苛立ちで眠れない夜が続いたという。その時、これは自分だけの問題でなく、初のグランドスラムという人生で最も幸せな瞬間の1つを、対戦相手も同様に奪われていた、という事に気づき、心が痛んだという。
セラピストにも通ったが、なかなか心の平和を見つけることができなかったセリーナ。唯一の方法は、対戦相手だった大坂なおみに謝ることだったという。
セリーナはエッセイだけでなく、ハーパーズ・バザー8月号のカバーを無修正で飾っており、その強さと美しさも話題になっている。