ロシア軍のウクライナ侵攻が膠着状態に陥る中で、旧ソ連の別の地域でも紛争が再燃した可能性がある。2020年に停戦していたナゴルノ・カラバフ紛争だ。
2020年の停戦後はロシア軍が平和維持部隊として駐留していたが、ウクライナを攻撃する戦力を補充するために部隊を移動させたという情報が出ている。
その隙をぬって、アゼルバイジャンがアルメニア側に無人攻撃機などで攻撃をしたとみられる。
■ナゴルノ・カラバフにはロシア軍約2000人が駐留していたが、ウクライナに移動か
攻撃があったとされるのは、アゼルバイジャン西部でアルメニア側が実効支配するナゴルノ・カラバフだ。隣国アルメニアの支援を受ける自称「アルツァフ共和国」が1992年以降、実効支配を続けている。
2020年9月から11月にかけて、アゼルバイジャンとアルメニアの間で激しい紛争となった。「アルツァフ共和国」は大幅に支配地域を減らした上で、ロシアのプーチン大統領の仲介で停戦した。「アルツァフ共和国」にはロシア軍約2000人が平和維持軍として駐留することになった。
2020年9月から11月にかけて、アゼルバイジャンとアルメニアの間で激しい紛争となった。アルツォフ共和国は大幅に支配地域を減らした上で、ロシアのプーチン大統領の仲介で停戦した。「アルツァフ共和国」にはロシア軍約2000人が平和維持軍として駐留することになった。
しかし、2022年2月24日からロシア軍はウクライナに侵攻。ウクライナ軍の猛反撃を受けて戦線は停滞している。ウクライナの地元メディア「キエフ・インディペンデント」によると、同国参謀本部は3月13日、「ロシアはナゴルノ・カラバフから戦闘員を連れてきて、ウクライナ戦の軍隊を補充している」と述べていた。
■ドローン攻撃で3人死亡と「アルツァフ共和国」が発表
さらに「26日午前11時ごろ、アゼルバイジャン軍が再び様々な口径の銃器を使用し、ロシアの平和維持軍の管理下の地域の東方向に前進しようとした」と投稿している。
■アゼルバイジャンは「停戦協定違反はアルメニアだ」と逆に非難
エルサレム・ポストなどによると、ロシア国防省は3月26日、アゼルバイジャンを「停戦協定違反」と非難する声明を発表した。
それによると、アゼルバイジャンは24日から25日にかけて、トルコ製の攻撃偵察ドローン「バイラクタルTB2」で4回に渡ってロシア軍が平和維持活動をするファルク村を攻撃。監視所を設置したという。
アゼルバイジャン国防省はロシアの声明を「真実を反映していない」と批判。停戦協定に違反しているのは、アルメニア軍だと主張した。
ナゴルノ・カラバフから離れるはずだったアルメニア軍が違法に駐留していることが原因だとした。その上で、ロシアに対して「アルメニア軍をアゼルバイジャン領から完全に撤退させること」を求めている。