学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引に関する決裁文書の書き換え問題で、元々の文書にはあった複数の国会議員やその関係者らの名前が書き換えによって消されていたことが3月12日明らかになった。
その数11人。国会議員らの名前が削除されたのは、公開された14の決裁文書のうち、近畿財務局が籠池氏の強い要望を受けて、土地の貸付けを当初予定の3年間から10年間に延長する承認を内部で求めるために作成された2つの文書だ。
財務局と森友学園との交渉過程が時系列で書かれていた項目などで、当初は交渉過程で名前が上がっていた議員らの動向が書かれていたが、書き換え後にそうした記載はなくなっていた。
森友学園問題をめぐっては、学園の籠池泰典・前理事長が土地取引の交渉過程で、安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前を出すなど、政治家の「威光」によって取引を実現させようとしたとされる。議員名の削除が発覚したことで、この問題が「政治案件」だったとの疑いが強まる形になった。
名前が削除された国会議員たちは以下の通り。
2013年8月13日の欄で、「鴻池祥肇議員●●(※)秘書から近畿局へ照会(受電)。籠池理事長が、本件土地について購入するまでの間、貸付けを受けることを希望しており、大阪航空局に直接相談したいとの要請を受ける」と記されていた。
(※秘書の名前は公開された文書でも黒塗り)
また、決裁文書の冒頭でも、「本件は、平成25年8月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿局への陳情案件」と記されていた。
鴻池氏は2017年3月、籠池氏夫妻が議員会館を訪れて「紙に入った物」を差し出され、「これでお願いします」と土地取引について働きかけを要請されたことを明かしたが、自らの関与は否定していた。
財務局と学園側が打ち合わせしたことが書かれていた2014年4月28日の欄で、籠池氏側が「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めて下さい。』とのお言葉をいただいた。」と発言した、と記載。その上で、「森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で写っている写真を提示」とも付け加えられていた。
2015年1月15日に、森友学園が当時の北川イッセイ・国土交通省副大臣の秘書に「近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、副大臣に面会したい」と要請した、と記載。国交省側は貸付料は近畿財務局が決めることとして、「面会しても意味はなさない」と回答したと記されていた。
2015年1月29日、平沼氏の当時の秘書が財務省に「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談したことが記されていた。これに対し、財務省側の回答として、「法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること」と書かれていた。
2015年2月17日、鳩山氏の秘書が近畿財務局を訪れ、「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談。これに対し、財務局側は平沼氏の秘書に対する説明と同じ内容のことを伝えたことが書かれていた。
森友学園の概要を記した項目で、籠池氏が日本会議大阪の代表を務めていることを説明した際、麻生氏が日本会議国会議員懇談会の特別顧問を務めていると記していた。
森友学園の概要説明の中で、安倍首相が籠池氏も所属する日本会議の国会議員懇談会副会長を務めていると記していた。
森友学園の概要説明の中で、中山氏が学園で講演したことがあると記載していた。
森友学園の概要説明の中で、学園を視察したことがあると記載していた。
森友学園の概要説明の中で、学園を視察したことがあると記載していた。
森友学園の概要説明の中で、学園を視察したことがあると記載していた。
(※上西氏の名前は文書では「上田」と誤記されていた)