森友学園と加計学園の問題が大きく取り上げられてきました。ワイドショー的なおもしろさもあって、籠池さんのキャラクターや文科省のメモがあったかなかったか、など物事の本質から離れた議論になったのは残念です。
森友学園のケースは、国有財産を払い下げる際の9割引きの積算根拠が正しいのかどうかが問題の焦点です。これが正しければ、問題はありません。間違っていたならば、政治的な圧力の有無を含めその原因が問われるべきです。しかし、政府は、「その資料は内規に従い捨てた。」との説明です。会計検査が終わっていない段階で、資料を捨ててもよいなどという内規は、それ自体違法です。私たちが保存期間内に領収書を捨てていたら、税務署は許してくれません。
加計学園のケースは、獣医学部の国家戦略特区の要件として作られたいわゆる「石破4原則」が守られたかどうかが検証されるべきです。
(石破4原則)
- 現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
- ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、
- 既存の大学・学部では対応困難な場合には、
- 近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。
つまり、ライフサイエンス分野や創薬の分野での獣医師の需要予測が行われ、どうしても不足を補う必要を内閣府は証明しなければなりません。国会審議で明らかになったのは、ライフサイエンス分野に関しては、担当省庁がなく需要予測はしていないこと、獣医師の医薬品メーカーへの就職について最近の数字はありますが、時系列のデータが存在しないため比較できないことです。
まさに、行政がゆがめられ、石破4原則を無視した決定が行われています。前川喜平前文科事務次官が指摘しているのもその点です。そこで、なぜそうなったのか調べなければなりません。
しかし、政府からは、官邸からの圧力がかかっていることを示す文科省のメモなどは、最初は「無い」、次は「怪文書」、そして、「あったけれども真偽は不明」などの不可解な説明が繰り返されるばかりです。安倍内閣には、メンツにこだわらず、真実がどうであったか、国民に納得のいく説明をしていただくことを望みます。
北朝鮮問題や米国のパリ協定離脱など、国政で議論するべき案件は他にもたくさんあるのですから、謝るべきは謝り、正すべきは正して、国政の機能不全を早く止めるべきです。