「もしも、ちがう決断をしていたら、今頃どうなっていただろう」。よく考えて決めたつもりでも、ふと思い返してしまうこと、ありますよね。感傷にひたるだけならいいけれど、前向きに考えられなくなるようであれば、困りもの。
声優として活躍する八代拓さんは、「声優になりたい」と考えてネットで検索、最初に出てきた養成所にすぐに資料請求するまっすぐな性格。決断に迷うことはあっても、後で「もし、別の道を選んでいたら…」と後悔することはないそうです。
森永乳業のCM動画かがやく“笑顔”シリーズに登場、父親役に挑戦した八代拓さんに、「小さな一歩をふみだす方法」「食卓の思い出」を聞きました。
はじめての父親役。ピンチのときに助けてくれた父を思い出して
── 八代さんが出演しているかがやく“笑顔”シリーズ「小さな一歩」篇を含めた、シリーズ全4篇をつなぐ動画が完成しました。まずは、一緒に見ていただいてもいいですか?
八代:わあ…こんな風に少しずつ重なっている世界観なんですね。改めて見ると、人と人とのつながり、当たり前の日々の暮らしの大切さが感じられて、おもしろい取り組みだなと思います。
── 父親役と聞いて、いかがでしたか?
八代:実ははじめての父親役で。僕自身、結婚もしていなければ子どももいません。ですから想像で補う必要もあるんですが、挑戦させてもらえるのは役者として素直にうれしいですね。
友達が二児の父親になって少しずつ責任感みたいなものもでてきて、雰囲気が変わってきたこととか、自分の父親のことを思い出しまして。「この親子は毎日どんなふうに暮らしているのだろう?」とイメージを膨らませました。
── 子どもの頃のどんなお父さんの姿を思い出しました?
八代:この動画くらいの頃の父は、写真で想像するくらいしかできないんですが、物心ついてから覚えているのは父は寡黙なタイプで、でもいつも歯磨きをしてくれて、ここぞというときレスキューしてくれるイメージがありました。
── レスキューって?
八代:僕が小学校にあがるかどうかくらいのとき、便秘になってしまったんです。父に「ちょっとこっちに来なさい」と言われて、なんだろうと思ったら手で便をかきだしてくれて。それはすごく印象に残っていますね。
小学校3年生頃には脱腸になって入院もしています。痛みがなかったので、自分的には「ポコってなって面白い」くらい。でも親がこれはおかしいぞって気づいてくれたから、病気だとわかったんでしょうね。
── 入院となると、本人も親も不安ですよね。
八代:僕はもちろんですが、親にとっても子育てははじめての経験で。たくさん心配かけてきました。この動画の父親も、きっと子どもと一緒に親として成長していくんだろうな、と思いましたね。
大会前には好物が。食卓でのコミュニケーション
── 「母の応援」篇ではビヒダスヨーグルトが大盛りで出てくるところで笑っていましたね。
八代:自分も部活をやっていたので、こんなことあったなって思い出しちゃいましたね。バドミントンをやっていたんですが、大会の前日には、僕の好きなものが出てくるんです。餃子だったり、お肉だったり…。言葉で「がんばれ」ではなくても、食卓でできるコミュニケーションてありますよね。
── 料理に込められた思いは、当時から素直に受け取れていたのでしょうか?
八代:いやそれが、中学2年生あたりから反抗期に入ってしまいまして。親と買い物行くのは恥ずかしいからいやだとか。「親の言う通りにするのはかっこ悪い」みたいなイメージがありましたね。
中学生ぐらいって、人との関わりや処世術みたいなことを覚えていく段階じゃないですか。自己意識みたいなものが芽生えだすのに、空気を読む必要も出てきて。それがいつのまにかストレスになって、一番甘えられる親に向かってしまったのかなと思います。反省しかないですね。
「決めた」ことを正解にしていくのは自分
── 上京してからはどんな生活になりましたか?
八代:まずは姉と同居して、大学に通いながら声優のレッスンがあったり、深夜までバイトをしたり…。忙しい生活でしたね。声優になるという目的に意識が集約されていたので、不思議と辛くはなかったです。
── 学生生活で出会うものって多くて、いろいろなことに魅力を感じることもあると思います。声優になることにずっとブレがなかったのはなぜですか?
八代:一度だけすごく悩んだことがありました。大学3年で声優活動をスタートしたものの、そんなに仕事はなくて。そして大学4年で教育実習に行くことになったんです。
そのタイミングで、先輩がMCを担当する番組のアシスタントに選んでいただいて。でも、教育実習で地元の岩手に行くとそのお仕事はできなくなってしまう。迷いましたね。
── 両方をとることは無理だったんですよね。
八代:距離的に無理でした。3年以上勉強してきて、教員免許が取れないというのも自分のなかで大きくて、母や先輩にも相談しました。
でも、事務所に「教育実習に行ってもらって全然大丈夫だから」と言われたことが胸に来て、教育実習はあきらめました。「自分でなくてもいい」と思われていることで、ひとつひとつチャンスを逃してはいけない気持ちが逆に大きくなったんですね。
── 教育実習に行っていたら、ちがった道が…。
八代:小学校の先生になることももう一つの夢だったので、母校に行ってみたかったという思いはあります。でも、どっちが正解だったのかって、誰にも判断できない。正解はないから、「決める」という行為自体がとても大変なんだろうなと思います。
そのとき真剣に悩んだことに意味があるから、後悔することはないです。「決めて良かった」という未来は、自分がつくるしかないですからね。
誰にでも、いくつになっても「小さな一歩」はあるはず
── かがやく“笑顔”シリーズでは、人々の生活をさりげなく後押しする森永乳業の商品が描かれています。八代さんにはどのような思い出がありますか。
八代:実家にいた頃の八代少年にとってのごちそうといえば、練乳がたっぷりかかったいちご。学生時代はとにかく森永乳業さんのリプトンを飲んでましたね。レモンティーもミルクティーも。授業とバイトでとにかく疲れてご飯を食べる体力もない日は、アロエヨーグルトによく助けてもらいました。それは今もなんですけど(笑)。
── ありがとうございます。最後に、このCM動画シリーズに出演して今、思うことを教えてもらえますか?
八代:いろんな人が少しずつつながっていて、毎日を大切に暮らしていることが伝わるシリーズです。僕1人で実現できることではないですけれど、できれば家族を持ちたいですし、そうでなくても様々な経験をして自分の人生を彩っていきたいですね。
動画には赤ちゃんから老夫婦まで、いろんな世代の方が登場します。誰でも、いくつであっても、「小さな一歩」を踏み出せるといいなと思います。ぜひ、シリーズの他の動画も楽しんでください。
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とことん悩んで決めたことだから、過去よりも未来について考えられるという八代さんの言葉。迷うことの多い日々、気持ちを切り替えるきっかけになるかもしれません。
100年以上にわたり健康で幸せな生活に貢献することで、笑顔あふれる豊かな社会づくりを目指す森永乳業が制作したCM動画、かがやく‟笑顔”シリーズ。動画の登場人物たちのように、日々の生活や、家族や仲間との団らんを通じて笑顔あふれる人生を歩みたいですね。新しい生活がスタートする春に、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか。
(取材&文/樋口かおる 撮影/小原聡太 ヘアメイク/高橋 優)