森友学園問題の本質は何か

霞が関の意識改革を進めなければなりません。
Kim Kyung Hoon / Reuters

森友学園の問題が、いまだに国会で論議されています。「もういい加減にしたらどうか」という声も聞きます。いったい何が問題なのでしょうか。

まずは、国民の大事な国有財産の値引きが正当だったかどうか。9億円以上の土地が約8億円値引きされましたが、その原因であるゴミの撤去費用が正確ではなかったことが問題です。

その前に、財務省の職員が、予算がないという理由で、ゴミの撤去をせずに業者に埋め戻させた土地を学校法人に貸したことも問題です。

大阪府の規則では、借入の土地では学校認可の許可がおりないのに、大阪府も財務省も簡単に規則の例外をつくっています。

そして、財務省が学校側の要求通りの値引きに応じて、手続きを進めていく不自然さの背景に、安倍総理や昭恵夫人の関与があったかどうか、昭恵夫人付きの谷秘書の役割はどうだったのか。

最後に、昨年2月の「総理自身や昭恵夫人の関与があれば、総理も議員も辞職する。」との総理答弁との整合性を保つために、公文書を改ざんしたのかどうか。そうだとすれば、それは誰の指示だったのか。

公文書の偽造、変造は10年以下の懲役という重い罪に問われます。役所にとって神聖な決裁文書の改ざんは役人の発想にはありません。良いことではありませんが、黒塗りで出せば済むというのが役人の考えることです。政治家を含む大きな力が上から働かなければ、14文書、300か所の改ざんはあり得ないというのが、霞が関の常識です。

安倍内閣では、まだ政治家が責任を取っていません。再発防止の提案もおざなりです。責任の所在を明らかにし、公文書管理の見直しをすべきです。

日本の役人には、公文書が歴史資料であるという認識がありません。2009年に公文書管理法が制定されても、「仏作って魂入れず」の状況が続いています。

国立公文書館の体制を見れば一目瞭然です。アメリカでは職員が約2500人、カナダで660人に対して日本はわずかに42人です(2003年「諸外国における公文書等の管理・保存・利用等に係る実態調査報告書」)。

安倍総理は、電子決済の活用を指示したと胸を張っていますが、それは最低限のハードルです。保存を義務付ける役所内の行政文書の範囲を広げ、政治家との交渉記録、eメールや電子データそのものを保存させるべきです。

PKO南スーダンの日報問題や今回の決裁文書改ざん問題などは、公文書管理がしっかり行われていれば起こりえなかった事件です。政府が国民の代表である国会をあざむくという日本の民主主義が足元から崩壊するような重大な問題なのです。

政治家が、この問題の責任を取った上で、速やかに公文書管理法を改正し、霞が関の意識改革を進めなければなりません。

権力を持つ者がお友達にえこひいきをすることも許されることではありませんが、公文書管理がずさんに行われることは、この国の運命を変えてしまうようなことなのです。

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