以前、もう数年前になりますがカイジシリーズの考察では多くの方々より、面白いと!か、なんだこれは!とか多くの批評や感想をいただいたわけですが、その当時より「沼はどうなんだ?」「沼をやってくれ!」と多くのリクエストをいただいておりました。
拙著「マンガ建築考」の執筆時にもこの「沼」はやるかどうかギリギリまで検討していたのですが
なんか、この「沼」のことを思い出すような事件、姉歯事件を思い出すような事件、建築業界を揺るがすようなとんでもない事件が勃発してしまいました。
それは
虚偽データ施工:横浜の大型マンション1棟傾いた状態
というものです。
現在はまだ続報中で詳しいことは分かっていないのですが、
大型商業施設に隣接する最高で12階建てのマンション4棟(計約700世帯)のうちの1棟。住民の相談を受けた市建築局が8月に確認したところ、この棟と他の棟をつなぐ上階の廊下の手すりに2センチの段差が生じていた。床も1・5センチのズレがあった。
と
そして、
元々の施主、分譲元である、三井不動産レジデンシャルが、傾いた棟にある計52本の杭を調べたところ、28本を調べ終えた時点で6本が地盤の強固な「支持層」に到達しておらず、他に2本は長さに不足があると判明した。
んだと
また施工主の三井住友建設の社内調査で、地盤調査を行ったように装う虚偽のデータを用意していたことも分かった。他の場所のデータをコピーし、加筆した形跡があった。同社から市に対し、虚偽データがこの4棟にある計38本の杭で確認できたという報告もあったという。
ヒドイ!まことにヒドイ話しです。
非常に難しい施工条件であったとか
非常に難易度の高い特殊な工法であったとか
非常にアバンギャルドな挑戦的なデザインであったとか
そういったものでもない。
地盤調査データをゴマカシたあげく、そのデータに沿って施工されたであろう杭が、
実際は短すぎた。
そして、杭の長さが足りず、固い地盤まで届かない状態で施工され、
ついには
建物が傾いてきているということのようです。
施工後7年くらいを経過している物件、
非常に軟弱な地盤で難しい施工であったならともかく、海浜でもない、埋め立て地でもなさそうな横浜市の内陸側、新幹線の線路よりも山側。
こんなことってあるんだろうか、、、です。
建物が徐々に傾いてくる。
同時に、荒唐無稽と思われたカイジが「沼」対策で発案した手法ってあり得たんだろうか、という興味が沸いてきたわけです。
杭と地盤の関係について、ここでもう一度おさらいしてみなくてはならんな、ということです。
つづく
(2014年10月14日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)