※この記事ではリーグの呼称を伝えるために、差別用語に当たる「ニグロ」が使われています。
リーグが誕生してから100年。これまで除外されてきた黒人野球選手たちの功績が、ようやく公式に認められることになる。
アメリカのプロ野球リーグ・MLBは12月16日、かつて存在した野球リーグ「ニグロリーグ」の選手と成績をMLBの公式記録に含めると発表した。
ニグロリーグをMLBと同等だと決定したことで、ニグロリーグでプレーした3400人ほどが「大リーガー」と認定された。
MLBコミュニケーションのツイート「マンフレッドコミッショナーは本日、ニグロリーグをメジャーリーグと同等にすると発表しました。MLBはニグロリーグ設立100年を祝い、1920〜1948年にプレーした先駆者たちの功績に光を当てます」
ニグロリーグは1920〜48年に存在した黒人選手を中心とした合計7つのリーグ。
MLBによると、ジャッキー・ロビンソン氏が1947年にブルックリン・ドジャースに入団するまで、黒人の選手たちはメジャーリーグでプレーすることが実質的に許されていなかった。
ロビンソン氏がドジャースに入団した後、他の黒人選手もメジャーリーグでプレーするようになり、ニグロリーグはなくなった。しかし同リーグの記録は、公式なMLBの記録として認められてこなかった。
MLBコミッショナーのロバート・マンフレッド氏は声明の中で「ニグロリーグの輝かしい功績をMLBの公式記録にできるのは喜びだ」と述べた。
ロバート・マンフレッド氏の声明「不当な差別を受けながら、ニグロリーグで多くの最高のプレーヤーやイノベーション、そして勝利がうまれたことは、私たちすべての野球ファンの間で長らく知られていました。
ニグロリーグの選手たちの功績を、本来あるべき場所であるメジャーリーグの公式な歴史記録として残せることは、私たちにとって喜びです」
プレーだけではなく記録も差別されてきた
MLBは現在、アメリカンリーグとナショナルリーグの2リーグ・30チームで構成されている。
ESPNによると、1969年に開かれた野球記録の特別委員会で、1876年から当時までに存在していた6つのリーグの記録を、MLBの公式記録にすることが決まった。
しかしその時に、ニグロリーグの記録は除外されたという。
「MLBは、委員会がニグロリーグを除外したのは明らかな間違いだと考えており、ニグロリーグの記録を公式とします」とMLBは声明で説明する。
野球歴史家のジョン・ソーン氏は、「ニグロリーグはMLBの排他的な姿勢から生まれました。そしてニグロリーグをメジャーリーグと同じ扱いをしないことは罪を2倍にします」とニグロリーグを認めてこなかったMLBを批判しつつ、「1世紀を経て、ニグロリーグをMLBと同等だと決定したのはとても素晴らしい」 と喜びを綴った。
ミズーリ州カンザスシティにあるニグロリーグ野球博物館も、これは歴史的にとても重要なこと、とTwitterで決定を歓迎した。
「今日は、歴史的に特別に重要な日です。私たちの知る多くのニグロリーグの選手たちはMLBに記録を認めて欲しいとは期待してはいませんでした。しかしファンや歴史を考えると、本当に素晴らしい決定です」
様々な記録がMLBに加わる
今でも多くの選手やファンから尊敬されているMLB初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソン氏も、ドジャースに入団する前はニグロリーグのカンザスシティ・モナークスでプレーしていた。
ロビンソン選手以外にも、ジョッシュ・ギブソン選手やウィリー・メイズ選手、サチェル・ペイジ選手など、ニグロリーグには数々の素晴らしい選手が在籍した。
スポーツサイト・アンディフィーテッドは、「ジョッシュ・ギブソンのような、MLBの試合でプレーをすることが許されていなかった、野球史上に残る素晴らしい多くの選手たちが、MLBの公式記録として認められるようになる」と、新たな記録が加わることを歓迎する。
ギブソン氏の遺産管理人で、ニグロリーグ選手協会の共同設立者でもある、エドワード・シャウダー氏も、「ジョッシュ・ギブソンはレジェンドです。もしメジャーリーグでもプレーが許されていたなら、彼は間違いなく、トッププレーヤーになっていたでしょう」と喜びを語っている。