海や川で死亡事故が相次いでいる。
いわゆる「水の事故」は生命を脅かす可能性が高く、都内では搬送者の4割以上が「死亡・重篤・重症」と診断されたというデータもある。
命を守るため、関係機関は「ライフジャケット」の着用を求めており、非着用がいかに危険かわかる実験動画も公開した。
全国で相次ぐ死亡事故
「水の事故」は全国で発生している。
島根県出雲市の海岸で7月16日、2人の子どもを泳いで助けようとした父親が死亡した。
子どもたちは父親にしがみつき、その後に救助されて無事だった。
神奈川県茅ヶ崎市の海岸でも同日、男性が死亡。友人と海水浴やサーフィンをしていたという。
川でも事故は起きており、山梨県韮崎市では7月17日、男性が岸から川に落ちて死亡。
山口県岩国市でも同18日、川で遊泳中の男性2人が流されて死亡した。
生命を脅かす可能性が高い
相次ぐ事故を受け、東京消防庁は7月18日、「子どもからは目を離さず、川や海ではライフジャケットを着ましょう! 」と投稿した。
同庁によると、都内で2018〜22年の6月から9月、河川やプールでおぼれるなどして救急搬送された人は53人。
年齢別では、10歳代が13人と最も多く、9歳以下が11人、40歳代が8人、20歳代が7人などだった。
事故が発生した場所は、河川が33人と最多で、プールが14人、海が3人、公園の水場が2人、池が1人だった。
また、搬送後に重症以上と診断される人が4割を占め、死亡が6人、重篤が11人、重症が6人などだった。
「水の事故」の怖いところは、重症以上と診断される人が4割を占めている点だ。
つまり、生命を脅かす事故となる可能性が高い。
ライフジャケットの大切さがわかる実験動画
このような経緯から、海や川で遊ぶ際には命を守るため、ライフジャケットを着用することが望ましい。
東京消防庁のツイートには、ライフジャケットを着用していない場合、どんな危険な状態になるのか実験した動画が添付されていた。
実験は、釣り人が川に流されたことを想定して行われ、実際に赤十字水上安全法指導員が川に入った。
足を滑らせると、そのまま勢いよく流され、顔を水面に出すのが精一杯な様子だ。完全に頭が水面から見えなくなる場面も数秒ほどあり、危険な状態が映し出されていた。
次は、ライフジャケットを着た指導員が川に流された。
先ほどとは打って変わり、基本的に顔が水面に出ている。溺れる様子もなく、呼吸もライフジャケット非着用のケースよりかは楽そうだ。
SNS上では、この動画を見た人たちから「ライフジャケットの重要性がとてもよくわかる」や「水辺に行く時は(ライフジャケットは)必須ですね」、「怖い」といった反応が集まっていた。
東京消防庁は、ライフジャケット着用のほか、飲酒後や体調不良時には遊泳を行わないことや、子どもから目を離さないこと、荒天時はレジャーを中止するように呼びかけている。