SDGsの年限である2030年も目前が迫り、各領域で持続的な循環型(サーキュラー)の仕組み作りが進んでいる。
また、そうした仕組み作りは業界やステークホルダーの垣根を超えた、新たな協業機会を創出している。
三菱ケミカルグループは、化粧品容器の資源循環型モデル構築をめざし、高級化粧品の製造・販売を行うアルビオンとの協業を開始することを発表した。

今回の協業を通じて同社グループは、アルビオンで発生する廃棄資材をケミカルリサイクルし、新たな化粧品容器へ再生させるという。ケミカルリサイクルとは、プラスチック廃棄物をモノマーなどのプラスチック原料レベルにまで分解し、新しいプラスチックに作り替えて再利用するリサイクル方法だ。
化粧品容器は、容器メーカーからアルビオンに納品される際、キズ防止のためプラスチック製の緩衝材や、埃の混入を防ぐためのポリ袋などで梱包されている。これらの梱包資材はこれまで廃棄物とされ、廃棄物から熱エネルギーを回収する「サーマルリサイクル」を通じて、ごみ発電や施設内の暖房・給湯、温水プール、地域暖房で活用されてきた。
今回の協業では、使用済みの梱包資材を回収し、同社グループの茨城事業所(茨城県神栖市)に新設したケミカルリサイクル設備にて油化し、ポリプロピレン樹脂に再生したのち、化粧品容器の材料として使用する循環型モデルの構築を目指す。また、緩衝材の回収・資源化をリファインバースグループ、再生ポリプロピレン樹脂の製造を日本ポリプロが担うという。
協業を支える、国内最大規模の新設備

今回の協業を支える茨城事業所のケミカルリサイクル設備は、2024年11月に新設され、国内最大規模となる年間2万トンの処理能力を備えている。
英Mura Technology社の技術を導入した本設備は、高温・高圧の状態の水(超臨界水)の中で廃プラスチックを分解し、リサイクル生成油に再生する。生成されたリサイクル生成油を石油製品や化学品、各種プラスチックへと再製品化することで、高効率なケミカルリサイクルの循環が実現できるという。
今回の協業によって生成されるリサイクル生成油は、アルビオンが2025年内を目途に発売を予定している新製品に活用される予定だ。
同社グループは「本協業をはじめとして、外部パートナーと連携することで、今後もクローズドループの適用・拡大に取り組んでまいります」とコメントを発表している。