12月11日、名古屋高裁の逆転有罪判決に対して上告中だった美濃加茂市長事件について、最高裁の上告棄却決定が出された。
主任弁護人の私の下に届いた上告棄却決定の理由は、
弁護人郷原信郎ほかの上告趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。
という、いわゆる「三行半の例文」だった。
本日、藤井市長は、記者会見を開き、上告棄却決定が確定することで失職することになることを受け、辞職する意向を表明した。
名古屋地裁の一審判決は、多くの証人を直接取調べ、被告人質問で藤井市長の話も直接聞き、丁寧な審理を行った心証に基づき、無罪を言い渡した。ところが、控訴審では、贈賄供述者の取調べ警察官の証人尋問以外に新たな証拠もなく、毎回欠かさず控訴審の公判に出廷していた藤井市長には発言の機会すら与えることなく、一審判決を破棄して、驚愕の"逆転有罪判決"を言い渡した。このような不当極まりない控訴審判決を、最高裁がそのまま是認し、有罪が確定することなどあり得ないと信じていた。
一審では、現金を受け取った事実は全くないことを、3人の裁判官の面前で訴え、無罪とされた藤井市長は、控訴審でも、上告審でも、一言も言葉を発する機会を与えられないまま、有罪判決が確定するというのである。それが、果たして、"刑事裁判"などと言えるのであろうか。
先週金曜日には、捜査段階から上告趣意書提出までの経過を詳細に記した拙著【青年市長は"司法の闇"と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開】がKADOKAWAから発売された。
この本を読んでもらえれば、藤井市長が潔白であること、警察の捜査、検察の起訴・公判立証と、有罪を言い渡した控訴審の判断が不当極まりないものであることが、世の中に広く理解されるものと確信していた。驚愕の上告棄却決定は、その発売日の先週金曜日から週末を挟んだ翌月曜日だった。そのタイミングは、単なる偶然とは思えない。
同書でも、私は書いている。
万が一、上告が棄却されて有罪が確定したとしても、藤井市長の「潔白」という真実は、それによって否定されるものではない。その場合、私は、「冤罪」を広く世の中に訴え、司法の場でも、再審で有罪判決を覆すことに全力を挙げていくであろう。
最高裁の上告棄却が現実となった今も、その思いに全く変わりはない。
藤井市長は、今回の司法判断にもめげることなく、自らの潔白を市民に訴え続けるとともに、今後も美濃加茂市政の推進に情熱を燃やし続けるであろう。そういう彼を私は、今後も、引き続き全力でサポートしていきたい。
青年市長は、警察・検察、そして、控訴審裁判所という「司法の闇」と闘い続けてきた。
その先にある、最高裁を頂点とする日本の刑事司法自体が、実は「真っ暗闇」だということが、今回の上告棄却決定で明らかになったのである。
(2017年12月14日「郷原信郎が斬る」より転載)