マインドフルネスとは「今自分に起こっていることを、判断や批判なくそのまましっかり認識すること」=心の整った健全な状態であり、デフォルトでこの心の状態に自然になるようにするための訓練法として、最も効果的なのがマインドフルネス瞑想だ。
アップルのスティーブ・ジョブスが瞑想実践者だったのは有名だが、グーグル、インテル、フォード自動車、最近ではイギリス国会などでも取り入れられるようになったマインドフルネスや瞑想は、世界的にも自己管理の王道となりつつある。健康やビジネス上での利点が科学的にも次々と確認されるようになった。
ポイントとしては、瞑想といっても偏った宗教的な要素がないこと、そして忙しいビジネスマンでも手軽に実践できること。そこで、興味はあるけどどう始めるのがよいか、と迷っている方へ、よくある質問を中心にまとめてみた。
【まずは初心者向けベーシック情報】
姿勢は?: 呼吸が楽にできて、一定時間止まってくつろげる姿勢であれば何でもOK。立ったままでも、座ったままでも。
時間と頻度は?: GoogleでマインドフルネスとEQのプログラムSIY(Search Inside Yourself)を創り出し、世界で注目されているチャディ・メン・タンは、「ひと呼吸でも、数分であっても、あなたができる時間であればそれがベストな時間」と言っている。はじめは、がんばりすぎず無理のない範囲で行い、気に入ったら時間を延ばせばよい。頻度についても同じく、気が付いたらちょこちょこ気分転換のつもりで。
場所は?: 瞑想中に家族や同僚に見られて、怪しまれたらどうしよう――多くの人がこの不安を持っているようだ。人知れず自宅で静かに、というのが便利で理想的ではあるが、それも難しい場合、電車やバスでの移動中、カフェ、電車や信号の待ち時間、会社の席でPCの画面や資料をうつむいて読むふりをしながら、など。参考にして自分の環境で探してみよう。
やり方は?: 今すぐ、そのままの状態で立ち止まり、意図的に自分に注意を向けてみよう。目は閉じても、うつむいた状態でもよい。うつむいた状態は、人から見られても怪しまれないというメリットあり(笑) 次の瞬間も、同じく自分に注意を向ける、そしてまた次の瞬間も、という風に。これを少しの間続けるために、今自分の中で起こっている呼吸を注意の対象としてみる。まずはこれだけで十分。(ビデオインストラクションはこちら)
そう、今このブログを読むのを30秒だけやめて、上記をトライしてみよう。それだけで、あなたはすでにマインドフルネス瞑想経験者だ。
【より楽しんで継続するためのコツ】
心地よさや自由をのびのび味わう: マインドフルネス瞑想の最中は、どこにも行かなくていい、何もしなくていい、誰かになる必要もない。ただ、あるがままでいられる何より自由な時間だ。この時間だけでも、先の計画や心配事から自分を解放しよう。楽に呼吸を続け、今の自分とともにある自由さ、くつろぎを体感できたらさらに続けたくなる。はじめからストイックに修行だと思わないほうがいい。
1日を振り返って、瞑想の影響・価値を考える: 立ち止まって瞑想した(あるいはしなかった)ことがどう影響したか、振り返ってみよう。「あれ、今日はなぜか苦手な上司ともうまく話せた」「あれ、今日はなぜかイライラしがちだった」など。そして続ける価値があると思えば、続けたり深めたりすればよいし、そうでなければ無理に続ける必要はない。自発的に、自由に行うこと。
雑念がやってくることも歓迎して楽しむ: 呼吸から意識が逸れて「昨日の○○さん、なんであんな態度だったんだろう?」「今日のランチなににしよう?」など思いが「今・ここ」から外れることももちろんOKだ。雑念が浮かぶたびに「しまった!」「いけない!」とダメ出しをしていると、瞑想は苦しいものになって、続けるのもいやになるだろう。それらの思いは何であれ、あなたの「今・ここ」に訪れてくれた訪問者として迎え入れ、それからまた呼吸に意識を戻せばよい。このニュートラルな感覚は、日常生活やビジネスでも冷静さや信頼感を創り出す、重要な基盤となってくれる。
日々の忙しさから、何にもとらわれずくつろぐ時間。責任・肩書・行動・功績とは無縁のあるがままの自分でいる時間。そんな時間がいかに心に滋養を与えよりよい選択を促すかは、数千もの学術論文がなくとも、常識的にわかるだろう。
運動で心身を整えるのがリーダーの間で当たり前となったように、マインドフルネス瞑想もこれからの自己管理法として浸透していくだろう。あなたもぜひ、体験してみてはいかがだろうか?
木蔵(ぼくら)シャフェ君子 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート理事