アメリカ・ユタ州ソルトレークで10月7日に開催された副大統領候補による討論会で、注目された議論の一つが新型コロナウイルスだ。
パンデミックに対策について聞かれた民主党副大統領候補のカマラ・ハリス氏は、トランプ政権の対策は「かつてないほど大きな失敗」だったと述べ、次のように批判した。
「アメリカの人々は、歴史上のどの政権もしていない大きな失敗を目の当たりにしています。21万人が亡くなり、700万人を超える人たちが感染しました。5件に1件の店や企業が廃業に追い込まれ、最前線の労働者たちが自らを犠牲にして働かなければいけないのを見てきました」
さらにハリス氏は、トランプ氏やペンス氏ら現政権のメンバーが、新型コロナウイルスの危険性を国民に伝えなかったことを非難し、危険性を知った1月の段階でその脅威を伝えていたら国民は備えることができた、とカメラに向かって訴えた。
それに対してペンス氏は トランプ大統領はアメリカ国民の健康を最優先し、中国からの入国を制限することでトランプ政権は効果的な対策を講じたと主張。
「バイデン氏は入国制限を外国人嫌悪と批判した」と述べた上で「入国制限の決定は第二次世界大戦以降最も人の動きを抑え、貴重な時間を稼ぐことができた」という持論を展開した。
しかしファクトチェック団体が指摘しているように、バイデン氏の「外国人嫌悪」という批判は、入国制限ではなくトランプ大統領の「中国ウイルス」といった発言一般に向けられたものだ。
また入国制限は完全な禁止ではなく、制限後も多くの人たちがアメリカと中国の間を行き来したため、この対策がどれだけの効果をもたらしたかはっきりしない。
この1週間で、トランプ大統領と妻のメラニア・トランプ氏を始め、多くのホワイトハウスのスタッフが新型コロナウイルスに感染したことが明らかになった。
感染場所となったのが、ホワイトハウスのローズガーデンで開かれたエイミー・コニー・バレット氏の最高裁判事任命式典だと言われている。この式典では多くの人がマスクを着用していなかった。
討論会でこの問題について聞かれると、ペンス氏は「多くの憶測が飛び交っているが、参加者の多くは事前に検査を受けており、屋外のイベントだった」と、政権を擁護した。
ペンス氏は、トランプ政権がアメリカ国民を優先してきたと主張したが、対策の遅れは防護服不足や検査体制構築の遅れに繋がった。
公共衛生の専門家たちは、防護服がもっと早く行き渡り、早い段階で検査体制が整っていれば、感染者や死者はもっと少なかっただろうと何度も指摘している。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。