トランプ政権の「ゼロトレランス(一切容赦なし)」政策で、2017〜2018年に親たちから引き離された移民の子ども達のうち、少なくとも545人の子どもの親が見つかっていないと、親子の再会に携わっている弁護士たちが明らかにした。
ACLU(アメリカ自由人権協会)が10月20日に裁判所に提出した文書によると、そのうち約3分の2の親が、子どもと引き離されたまま中米に強制送還されたと考えられている。
ACLUのリー・ゲラント弁護士は、「子ども達の中には、引き離された時に小さな赤ちゃんだった子もいます」とCNNに話す。
ゲラント弁護士のツイート「トランプ政権によって引き離された545人の子どもの親をみつけられていないことを、裁判所に報告しました。そのうちの何人かは、数年前に引き離された時にまだ赤ちゃんでした。私たちは、すべての子どもたちの親を見つけるまで諦めません」
2年経っても消えない爪痕
トランプ政権は2018年に、入国書類を持たずに国境を越えようとする移民を厳しく取り締まる「ゼロ・トレランス」政策をスタート。その一環として、国境を超えた移民の親と子を引き離して、別々に隔離する政策をとった。
後に、引き離しはそれ以前から行われていたことが明らかになった。ACLUによると、2017〜2018年の間に親から引き離された子どもたちの人数は少なくとも4200人にのぼる。
同団体は「アメリカの入国管理局は、移民の親の多くを子どもと引き離したまま強制送還させた上、多くの親たちの連絡先を保持しなかった」と指摘している。
引き離された家族の多くは、ACLUやその他の団体の努力で再会できた。しかし2年以上たった今でも親の居場所がわからないという事実はアメリカ社会にとって衝撃であり、トランプ政権にとって逆風となりそうだ。
新型コロナウイルスの影響で捜索は難しくなっているものの、ACLUはすべてのこどもたちを家族と再開させる決意だという。ゲラント氏はNBCのインタビューで、次のように語る。
「すべての家族をいつ探し出せるのかと聞かれますが、残念なことに私たちにもそれはわかりません」
「しかし私たちはどれだけ時間がかかろうと、すべての家族を見つけるまで、捜索をやめません。悲劇的なことに、何百人もの家族が子どもと離されたまま、中米に強制送還されました。残された子どもたちは、里親や遠い親戚に面倒を見てもらっています」
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。