「ミドル転職」で失敗しないために。転職が成功しやすいポジション、職種、企業タイプは?【アンケート調査】

人材紹介事業の大手であるエン・ジャパンが「ミドル人材の転職回数と転職成功の可能性」についてアンケート調査を実施。転職は3回目以降が難しい?

働き方やキャリア構築のあり方が多様化し、転職も身近な選択肢となった現代。30代以降での「ミドル転職」を選ぶ人も増えている。

人材紹介大手エン・ジャパンは、同社が運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している人材紹介サービスの転職コンサルタントに「ミドル人材の転職回数と転職成功の可能性」についてアンケートを実施した。調査結果を一部抜粋して紹介する。

【調査概要】

調査方法:インターネットによるアンケート

調査対象:『ミドルの転職』を利用するコンサルタント

調査期間:2024年12月18日~12月25日

有効回答数:243人

転職が成功しやすいポジションや職種、企業タイプは?

採用を検討する際、採用企業が気にする転職回数。
採用を検討する際、採用企業が気にする転職回数。
エン・ジャパン

はじめに「転職を実現したミドル人材は、転職経験が何回の方が多いですか?」と聞いたところ、全体の67%が「1~3回」(1回:9%、2回:25%、3回:33%)と回答。

続いて「採用を検討する際、採用企業は何回目から転職回数を気にする傾向にありますか?」と聞いたところ、約3人に1人(34%)が「3回」と回答しており、転職経験が3回の人が比較的多い一方で、企業が採用を懸念する回数にもなりえることが見えてきた採用企業が転職回数を気にする理由として最も多く挙がったのは、「職務や組織への長期的なコミットメントに不安がある」(80%)だった。

ミドル人材の採用を検討する際、採用企業が転職回数を気にする理由。
ミドル人材の採用を検討する際、採用企業が転職回数を気にする理由。
エン・ジャパン

また、「担当したミドル人材の求職者で、転職回数が多い人の転職成功実績はありますか?」という質問に対しては、全体の70%が「ある」と回答。さらに「ある」と回答した人に「どのようなポジション、職種、企業タイプでの転職成功実績が多いか」と聞いたところ、最も多かったのは、ポジションでは「課長クラス」(43%)、職種では「技術系(IT・Web・通信系)」(25%)、企業タイプでは「中堅・中小企業」(65%)という結果になった。

課長クラスでの成功実績が多い理由については「マネジメントだけでなく、ハンズオンでプレイヤーとして就業できるポジションのため」「30代前半~40代前半の採用ニーズが高まっているため、その年齢層に任せることの多い課長クラスの転職成功実績が多い」などの回答が寄せられた。

また、技術系(IT・Web・通信系)での成功実績が多い理由については「他のポジションに比べて、終身雇用的な風土が少ないため」「IT人材はプロジェクトの切れ目で転職する人が多いため、転職回数が多くても採用企業側から理解されやすい」などの回答が寄せられ、業種ならではの特徴が影響していることがわかった。

最後に、中堅・中小企業での成功実績が多い理由については、「転職回数での足切りをしてしまうと応募者の母集団形成が困難になるため」「転職回数などの数字による判断ではなく、人柄を見る傾向があるため」などの回答が寄せられた。

ミドル転職に必要なのは「納得性」

転職回数の多いミドル人材を選考する際に採用企業はどんな点を評価するかを聞いたところ、「高い専門スキルを有している」(82%)が最多という結果になった。その理由としては「スペシャリストであれば、転職回数が多くてもキャリアに一貫性があり、十分な実績を出している方が多いため」「転職理由には自らの責任でないこともあるため、やむを得ない理由であればスキル・経験が評価される」などが挙げられた。

転職回数の多いミドル人材を選考する際に、採用企業が評価する点。
転職回数の多いミドル人材を選考する際に、採用企業が評価する点。
エン・ジャパン

一方、ミドル人材で転職回数が多い求職者に対してのアドバイスを尋ねたところ、「キャリアの一貫性をアピールすることが重要。職種が変わる場合は、なぜ職種を変えたのか、そのうえで自身にどのような強みがあるのかを伝えられるようにする必要がある」「納得性のある転職理由を用意しておくことが大切。また、転職回数が増えたことで得られたものもセットで答えられるとよい」「第三者が聞いて納得感のある転職理由が必要。応募した企業に至るまでのストーリーを組み立てることが重要」など、「納得性」に重点を置いた回答が多く寄せられた。

「転職が初めて」というミドル人材に対してもまた、企業側が抱く懸念点があるようだ。「新しい環境への適応力に不安がある」「自社の経験に基づく固定観念が強い」などで、それまでのやり方にこだわらず、柔軟に新しい環境に適応する能力が求められることが分かった。

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