俳優のマイケル・J・フォックスさんが11月19日、映画芸術科学アカデミーが主催するガバナーズ賞授賞式で、アカデミー名誉賞を受賞した。
フォックスさんが授与されたのは、「ジーン・ハーショルト友愛賞」で、映画界への貢献とパーキンソン病支援が評価された。
受賞スピーチでは、約30年前にパーキンソン病と診断された時のことを振り返り「7年間、否定し続けた」と明かした。
29歳での診断
フォックスさんがパーキンソン病と診断されたのは1991年、29歳の時だった。
メイヨークリニックによると パーキンソン病は神経系に影響を与える進行性の疾患で、体の震えや筋肉のこわばり、言語障害、動作が遅くなるなどの症状が現れる。
まだ完治の方法は見つかっていないものの、薬による適切な治療で症状が大きく改善される可能性がある。
フォックスさんは、診断された時に「動くのは残り10年だろうと言われました。クソみたいな話でした」と振り返った。
一番つらかったのは、先が見通せないことだったという。
「診断は確実なのに、状況が不確実でした。悪化することだけはわかっていました。診断は明確で、どう進行するかが不明確だったんです」
そして「それから7年、否定の時間に入り、すべてを理解しようとしました」と明かした。
「ごくわずかの人々にだけ話し、彼らは秘密を守ってくれました」
「様々な医師たちが、私の脳の中で何がどのように機能しているのか、また機能していないか、プロセスを理解するために助けてくれました」
「そして最後には、みんなに伝えなければならないと感じたんです。それがキャリアに大きな影響を与えるだろうことは理解していました」
公表した後の周りの反応は「驚くべきもの」だったという。
「世の中の人たちから、あふれるほどの支持をもらいました。エンターテインメント業界のすべての同業者たちが、素晴らしい反応を示してくれました。一緒に働いていた人々は、変革をもたらしてくれました」
診断を「ギフト」と感じるように
フォックスさんはそれから、患者や家族、医師、科学者などパーキンソン病のコミュニティの人々と繋がるようになった。
そうする中で、パーキンソン病の診断を「ギフト」と感じ、それまでの成功や家族など、自分に与えられたすべてが「この重大な機会と責任のためだったのだ」と思うようになったという。
「科学がお金よりも先を行っている」と感じたフォックスさんは2000年、「マイケル・J・フォックスパーキンソン病研究財団」を立ち上げた。同財団はこれまでに15億ドルを集めている。
こういった活動が評価されて「ジーン・ハーショルト友愛賞」を受賞したフォックスさんだが、自分の行動について「英雄的ではない」と述べた。
「(パーキンソン病に関わってきた)すべての人々、そして世界からパーキンソン病をなくしてくれるであろう人々に感謝します」
「ここに立ち、皆さんの親切と称賛を受けると、深く謙虚な気持ちになります。この注目を受けるに値する人たちが他にいます。彼らこそが、本当の努力をした人たちです」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。