東京医科大に成績開示を集団請求。女性差別入試の受験生20数人

請求者は他の大学医学部に進学した人や浪人を続けている人、すでに医師になった人などがいるという。
医学部入試における女性差別対策弁護団の会見=文部科学省
医学部入試における女性差別対策弁護団の会見=文部科学省
JUN TSUBOIKE/HUFFPOST JAPAN

東京医科大の女子受験生の入試点数の操作で不当な扱いを受けたとして、同大の受験生20数人が、入試の成績の開示と受験料、慰謝料などを同大に請求することが分かった。10月24日、弁護士約65人で作る「医学部入試における女性差別対策弁護団」が文科省で開いた会見で明らかにした。

請求するのは2006年度から2018年度入試で同大を受験した女性20数人。他の大学医学部に進学した人や浪人を続けている人、就職した人、医師になった人などがいるという。

請求内容は次の通り。

・入試成績の開示

・受験料6万円

・慰謝料10万円

・受験の際の交通費や宿泊料

*すべて受験年度ごとに請求

さらに希望者が出れば、2回目、3回目の請求もしていくという。

また弁護団は、「入試の成績開示の結果で、点数操作がなければ合格していた人は、個別の賠償請求をすることもありえる」として、訴訟の可能性にも言及した。今後の訴訟費用や弁護団の活動経費を賄うため、クラウドファンディングサイト「ReadyFor」で250万円を目標に寄付を募っている。11月23日には東京都内で当事者の説明会も開く予定という。

弁護団が8月に実施した電話相談には55件の相談が寄せらたほか、100通以上のメールも届いているという。

「何年も受験して、不合格になったので、別の仕事をしている。自分の能力が足りないと思っていたが、不正な点数操作で不合格になったかもしれないと思い、ショックだ」

「小さいときから医者になりたいと夢を持っていた。もし合格していたら、わたしの人生は大きく変わっていたと思う。受験の結果を知りたい」

――などの声が寄せられているという。

弁護団は「東京医大も当事者に一定の対応(賠償行為)をするだろうが、不合格で別の道を余儀なくされるなど、遺失利益の観点から、請求でとどまる問題ではないと考えている。個別の賠償請求をすることもありえる」などと話している。

弁護団のクラウドファンディングのサイト
弁護団のクラウドファンディングのサイト

■入試差別、文科省が「少なくとも6大学」と報告

東京医科大学に端を発した入試差別を巡っては、10月下旬に入り、同大の第三者委員会や文部科学省による調査結果が相次いで報告されている。

同大の第三者委員会が23日に公表した一次報告書では、2017年度と2018年度の入試で55人の女子受験生が、本来は合格ラインに達していたのに「不合格」となっていたことが明らかになった。

この点について、弁護団の角田由紀子・共同代表は「本来なら合格していた女性が55人いたことに衝撃を受けた。今回のケース(入試での女子差別)は文科省の別の調査(同省幹部の子どもの裏口入学問題)が発覚しなければ、そのまま闇に葬られていた。当事者はどんなに傷ついたかと思う。多少なりとも入試での女子差別が是正されることで希望が見えてきたら、と思う」と話した。

また、同時に、全医学部を対象とした文科省の緊急調査の中間まとめで、大学名は明らかにされていないものの、少なくとも6大学で「不適切な入試の疑いが高い」とされた。

この点について、角田共同代表は「大学名を早急に公開するべき。出願期限が迫る中、受験校がどうなのかが不明な状態でいることは受験生には大変残酷なこと」と指摘した。

さらに、同省の中間まとめに盛り込まれた「募集要項等の役割と入学者選抜の公正性」の項目についても言及。「(東京医大の女性差別入試が明らかになった)8月時点で、文科省はあらかじめ告知されていれば(選抜で男女を区別すること自体は)問題ないかのような考えを示していたが、中間まとめでも、その考えは変わっていないかのような表現がある。大きな間違いだ。差別をしますよ、と告知すれば差別は許されるのか。差別をしないのは当然の了解。考えを改めてもらいたい」と指摘した。

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