「#MeToo(私も)」で、過去に受けた性的なセクハラや暴力をシェアし、問題の深刻さを考えよう。
ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏によるセクハラや暴行が明らかになり、性暴力の問題に注目が集まる中、俳優のアリッサ・ミラノが10月15日にTwitterで、「過去に性暴力を受けた経験のある人は、この#MeTooハッシュタグで経験を共有しよう」と呼びかけて話題になっている。
実はこのハッシュタグができる10年前に、「Me Tooムーヴメント」を作った女性がいた。
その女性は、青年団体「Just Be Inc」の設立者タラナ・バークさん。バークさんは2007年に、MeToo キャンペーンを始めた。
現在44歳のバークさんは月刊誌エボニー・マガジンに、恵まれない環境で生きる性的暴力の被害者のための草の根活動として、Me Tooムーヴメントを始めたと語った。
「拡散した後に忘れられてしまうようなキャンペーンやハッシュタグとしてつくったわけではありません」
「Me Tooは被害者から被害者へのキャッチフレーズです。『あなたはひとりじゃない、傷が癒される日は必ずくる』と伝えます」と、バークさんは同誌に述べる。
バークはエボニー・マガジンに、ハッシュタグが広がっていることにパワーを感じると述べている。
「今起きていることに、とてもパワーを感じます。このムーヴメントと、自身の経験を語る女性に敬意を表します」
「しかし、私たちがつくったMeTooには、会話を始めるきっかけとなり、そして会話そのものになれる力があります」
ミラノはその後Twitterで、バークさんが始めた#MeTooムーヴメントのことを知ったと伝えた。
「元々のストーリーも、全く同じように悲痛で、心が動かされます」
バークさんは17日、ニュース番組「Democracy Now」に出演して、#MeTooムーヴメントを始めた経緯や、なぜこのムーヴメントが現代でも重要なのかについて話した。
自身も性的暴力の被害にあったバークは、他の被害者、中でも若い黒人女性とつながるために#MeTooを作ったという。
「シンプルなやり方で共感を伝える方法をみつけたかったのです。Me tooはパワフルです。誰かが私に話をするということであり、その言葉によって、私の癒され方が変わるのです」
「Me tooは、他の人たちが伝えようとしない場所までメッセージや言葉を運び、性暴力の被害者を勇気付けます」
「この10年間で私たちがやってきたMeTooは、特に若い黒人女性に向けてあなたはひとりじゃないと伝えるムーヴメントでした」
「ハーヴェイ・ワインスタインに対する社会の厳しい目、そして彼を告発した人たちに対するサポートは素晴らしい」
「今日、#metoo で自分の経験をつづる女性を見ました」
「それを読んで、胸がいっぱいになりました。私たちが考えている通り、『共感を通じて強くなれる』」のです。
「私たちがこれまでやってきたme tooムーヴメントとは、女性にメッセージを伝えるためのものです」
「特に若い黒人女性に向けて、あなたはひとりじゃないと伝えてきた」
「これはハッシュタグ以上の意味があります。大きな会話の始まりであり、コミュニティを通しての癒されるムーヴメントです」
MeToo のようなフェミニストムーブメントが起きたとき、「有色人種の女性がムーヴメントから忘れられ取り残される」という問題がある。
今回の#MeTooについて、ミラノ自身は自分が作りだしたハッシュタグだとはと言っていない。しかし多くのメディアが、ミラノがハッシュタグを作ったと報じ、結果的にミラノに注目が集まった。
バークの始めた#MeTooムーヴメントが伝えられた後、多くの人たちがバークを称賛し彼女の始めたムーヴメントを支援すると約束した。
Black Lives Matter(黒人の命だって大切だ)を始めたアリシア・ガーザさんはバークに感謝するツイートをした。
「タラナ・バーク、10年前に#MeTooを始めてくれてありがとう。今でもパワーがある」
また、黒人の女性が始めたことを、白人女性の手柄にしないで欲しいとメディアに訴えている人もいる。
「#MeTooを始めたのは、タラナ・バーク。黒人を消し去るのはやめて。」
「タラナ・バークに感謝。バークは性的暴力の被害者のために活動し、何年も#MeTooをやってきた」
「#MeTooは、タラナ・バークが10年前に始めた。しかしいつものように白人の功績になってしまう」
「大きな声も声にならない声も、私たちはすべての Me tooに寄り添う。MeTooを10年前に始めてくれてありがとう、タラナ・バーク」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
性の被害は長らく、深い沈黙の中に閉じ込められてきました。
セクハラ、レイプ、ナンパ。ちょっとした、"からかい"。オフィス、教室、家庭などで、苦しい思いをしても私たちは声を出せずにいました。
いま、世界中で「Me,too―私も傷ついた」という言葉とともに、被害者が声を上げ始める動きが生まれてきています。
ハフポスト日本版も「Break the Silence―声を上げよう」というプロジェクトを立ち上げ、こうした動きを記事で紹介するほか、みなさんの体験や思いを募集します。もちろん匿名でもかまいません。
一つ一つの声を、確かな変化につなげていきたい。
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