イギリスのテリーザ・メイ首相は1月18日、「孤独担当大臣」のポストを新設し、トレイシー・クラウチ氏を任命したことを発表した。イギリス社会で「孤独」に困っている人のための総合的な政策を率いるという。ガーディアンなどが報じた。
また、イギリス政府は孤独の問題に関する調査を開始し、人々を結びつけるコミュニティ活動に対して金銭的な助成をすると発表した。
メイ首相は「多くの人々にとって、孤独は現代の生活の悲しい現実です。私はその現実に立ち向かい、我々の社会や高齢者や介護者、愛する人を失った人々ーそして自分の考えや体験を話したり分かち合う相手のいない人の孤独に対して、行動を起こしていきたい」と語っている。
「孤独」で年間320億ポンド(約4.9兆円)の損失
この政策は、2016年に極右過激派に殺害された労働党のジョー・コックス党首の遺志を引き継いだものだ。メイ首相は、彼女が生前に設立を計画していた「ジョー・コックス委員会」が提出した「孤独」に関する問題についての勧告の多くを受け入れた。
その結果、明らかにされたのは以下のようなものだった。
・イギリスでは、900万人以上の人々が常に、もしくはしばしば「孤独」を感じており、その3分の2が「生きづらさ」を訴えている。
・月に1度も友人や家族と会話をしないという高齢者(65万人)の人口は20万人にのぼった。週に1度では36万人になる。
・身体障害者の4人に1人は日常的に「孤独」を感じており、18〜34歳の中では3分の1以上になった。
・子どもを持つ親たちの4分の1が常に、もしくは、しばしば「孤独」を感じている。
・400万人以上の子どもたちが「孤独」を訴え、チャイルドライン(相談窓口)の支援を受けた。
(約4.9兆円)
トレイシー・クラウチ氏は文化・メディア・スポーツ省の政務次官と兼務する。