ハワイで2番目に大きいマウイ島で複数の山火事が発生し、これまでに6人の死亡が発表された。
ラハイナはかつてハワイ王国の首都で、国家歴史登録財に指定されているものの、火災により歴史的な街並みの一部が破壊され、大きく姿を変えた。
ハワイニュースナウによると、山火事は8月8日に発生し、ハリケーンによる強風の影響を受け、急速なスピードで広がった。2000人以上が避難を余儀なくされ、ラハイナの住民の中には、海に飛び込んで避難した人たちもいたという。
9日にラハイナ上空を飛行したヘリコプターパイロットのリチャード・オルステンさんは、歴史的な街並みの多くが消失し「爆撃されたかのようだ」と述べている。
バイデン大統領は9日、沿岸警備隊や陸海軍などを派遣し、消火活動や人命救助、旅行者の避難にあたると声明で述べた。
気候変動が山火事に与えた影響
火災の原因は特定されていないものの、専門家たちは、強風や乾燥、枯れた植物などの要因が重なったことが、今回の被害拡大につながった可能性があると考えている。
オレゴン州立大学オレゴン気候変動研究所のエリカ・フライシュマン所長は、これらの条件が重なると、非常に危険な状態になるとAP通信に話している。
「世界の多くの地域で、植物の乾燥が増加していますが、その大きな理由になっているのが気温の上昇です」「降水量が変わらなくても、温度が高くなればより早く乾燥します」
今回の火災拡大の一因と考えられている強風は、ハワイの南側を通過したハリケーン・ドーラの影響を受けたもの考えられているが、気候学者のパオ=シン・チャウ氏は「ドーラはハワイから非常に遠く離れているにも関わらず、ここで火災が発生した。私たちが予想していなかったことです」と驚きを口にしている。
強風とのつながりが指摘されているのが、気候変動によるハリケーンの威力増大だ。
フライシュマン氏は「温かい空気はより多くの水分を含むため、世界中のハリケーンの強度が増している傾向があります」と述べている。