妊娠中の母親がインフルエンザワクチンを接種した場合、子供に影響するでしょうか。スウェーデンで地域の調査による研究が行われ、その関連性について調査が行われました。
◆出産 275,500件を対象に分析
スウェーデンの137,886人の母親から275,500件の出産について、インフルエンザ接種データと出産の特徴および子供の死亡率のデータを関連付けました。その結果、41,183人の子供では妊娠中に母親がインフルエンザワクチンを接種していました。第一に妊娠中にワクチンを接種しなかった母親と接種した母親を比較しました。そして、第二に母親が妊娠中にインフルエンザワクチンを接種したときに産まれた子どもと、接種しなかったときに産まれた兄弟姉妹を比較しました。
◆妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、子供の死亡率に関連性なし
この研究の結果、妊娠中のインフルエンザワクチン接種は子供の死亡率と関連性がないことが示唆されました。対照となった一般集団との比較では、死産、生後1週間(7日)以内に起こる早期新生児死亡、生後満7日~28日未満に起こる後期新生児死亡の確率にはいずれも統計的な違いが見られませんでした。
インフルエンザワクチンを接種する方が多くなる季節ですが、妊娠中のインフルエンザワクチン接種は、近親者の病歴を考慮しても、胎児への悪影響や子供の死亡率に影響しなかったという結果は、妊娠中にもワクチン接種を考える際の参考になると思います。
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◆参照文献
Maternal vaccination against H1N1 influenza and offspring mortality: population based cohort study and sibling design. BMJ. 2015 Nov 16
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