「マッチングアプリ」疲れで結婚相談所の利用者が増加?もはや「最終手段」ではない。婚活のプロが紐解く“最新事情”

かつては婚活の“最終手段”のように捉えられていた結婚相談所。現在では「恋愛に困らない層」の登録も増えているそうです。

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今後も浸透が予想される「マッチングアプリ」市場。近年は、「DINKs(子どもを希望しない夫婦)」向けや、3対3で出会うグループ形式のものなど、特定のニーズやライフスタイルに合わせた「特化型」のアプリも登場している。

その一方で、メッセージのやり取りの面倒さなどから「マッチングアプリ疲れ」を感じる人が増え、アプリ離れも進んでいる。マッチングアプリの運営会社が発表した調査によると、7割の人がアプリ利用を一時休止しているという。

そんな中、利用者が増えているのが「結婚相談所」。かつては堅苦しくて時代遅れというネガティブなイメージがあったが、現在では“恋愛に困らない層”の登録も増えているという。ベテランカウンセラーや恋愛コンサルタントが紐解く、最新の“婚活事情”とはーー。

こども家庭庁の調査によると、既婚者の4人に1人が「マッチングアプリをきっかけに出会った」と答えている。
Iuliia Zavalishina via Getty Images
こども家庭庁の調査によると、既婚者の4人に1人が「マッチングアプリをきっかけに出会った」と答えている。

結婚相談所もマッチング機能を活用

創業41年の老舗結婚相談所「ZWEI(ツヴァイ)」カウンセラーの伊藤綾香さんは、「マッチングアプリを利用した後に結婚相談所に登録する方は全体の約8割にのぼる」と話す。

「マッチングアプリの多くは独身証明書の提出が不要なため、相手の身元確認が難しいのが現状です。例えば、私がサポートした30代の女性は、マッチングアプリで出会った相手と真剣に交際していたものの、後に既婚者だったことが発覚しました。

その男性から『離婚するから待ってほしい』と言われたものの、信頼を失い、結婚相談所に登録することを決めたそうです」

また、マッチングアプリは、メッセージのやり取りに手間を感じる人には煩雑に映るため、途中で連絡が途絶えることも珍しくない。一方、一般的な結婚相談所では、担当のカウンセラーが間に入るため、お見合いの日程調整や細かいやり取りの負担を軽減でき、トラブル防止のサポートを受けられる。

マッチングアプリはさまざまな目的で利用されるが、結婚相談所は「結婚」を前提としているため、真剣に結婚を考える人にとって理想的な場となる。
Jacob Wackerhausen via Getty Images
マッチングアプリはさまざまな目的で利用されるが、結婚相談所は「結婚」を前提としているため、真剣に結婚を考える人にとって理想的な場となる。

「恋愛強者」も結婚相談所を利用する時代

かつて、結婚相談所は「恋愛市場でうまくいかなかった方々の最後の手段」といったイメージも根強かった。しかし、マッチングアプリという新たな出会いのツールが普及したことで、誰もが「マッチング」に抵抗を感じなくなり、その結果、結婚相談所の利用者層も拡大している。

恋愛コンサルタントの鈴木リュウさんは「現在の結婚相談所には、容姿や収入など条件面で恵まれた、いわゆる『恋愛に困らない』男女が積極的に登録しており、真剣な出会いを求める層が増加しています。その結果、ハイスペックな異性を求める“ネオ結婚相談所ユーザー”同士のマッチング率が上がっているのです」と話します。

また、結婚相談所の仕組みは転職エージェントに似ており、カウンセラーは短期間で結果を出すことが求められる。そのため、カウンセラーがマッチングを積極的にサポートしてくれるのも特徴だ。

 

「結婚相談所で良かったと感じる人の多くは、カウンセラーによる『コーチング』に価値を感じています。『今月〇人会いましょう』『デート先は決めましたか?』などと具体的にアドバイスを受けられるため、短期間で本交際に進み、結婚に至るケースが多いのです。ただし、このペースにプレッシャーを感じる人には向かないかもしれません」

今後の婚活市場、どうなる?

しかし、結婚相談所もマッチングアプリと同じで、誰しもがよい出会いにつながるわけではない。

40代前半の大手企業勤務の男性は、結婚相談所に2カ月間登録したが、3カ月で退会した。

「離婚した直後だったので、次の恋愛に進みたくて登録しました。紹介されたのは同世代の女性でしたが、初対面から『子どもは2人ほしい』『すぐにでも結婚したい』と強くアピールされ、自分の気持ちがついていけませんでした」

結局、紹介された女性たちとは2度目のデートに行くことはなく、そのまま退会。新しい出会いは得られなかったものの、現状の「恋愛観」に気づくことができたという。

「相談所に登録したことで『今すぐ結婚したいわけではない』と自覚できたのは良かったです。今は知人の紹介で知り合った女性と、気軽に飲みに行くくらいの距離感がちょうどいいですね」

カウンセラーの伊藤さんは、婚活市場の今後について「利用者のニーズに応じたサービスの使い分けが進むのでは」と予測する。

マッチングアプリの運営側も、結婚相談所に利用者が流れている現状を把握しており、安全対策の強化に努めているという。マッチングアプリの「弱点」が解消されることで、今後は利用者のニーズに合わせた使い分けがさらに進むのでは、という見立てだ。

「例えば、短期間で確実かつ安全な出会いを求める結婚『急ぎたい派』は、カウンセラーの手厚いサポートと独自のマッチングシステムにより信頼性が担保された結婚相談所を利用する傾向にあります。

一方で、じっくりと相手を探し、時間をかけて将来を考えたい『のんびり派』は、従来のマッチングアプリを利用していくでしょう」