手持ちの雑貨をデコレーションしたり、贈り物のラッピングにも使える、可愛いマスキングテープ(マステ)。
視覚障がいのある子とその親で活動するグループ「つばさの会」は、点字や点字ブロックというモチーフで、新しいマステの商品を生み出した。そこに込められた願いとは?
つばさの会は、目が不自由な子たちも水泳教室に通えるようにと、神奈川県の家族たちが集まって2011年に設立されたグループだ。現在は33の家族がメンバーとなっている。
代表の亥埜理絵(いの・りえ)さんの中学3年生の娘は、生まれつきの全盲だ。一人で外出する時には白杖を使い、点字ブロックを頼りに歩みを進める。
しかし、街には障害がたくさんある。点字ブロックの上に停められた自転車や、何気なく置かれた誰かの荷物...。それらはすべて、娘たちを命の危険にさらすものになる。
「視覚障がいのある子は毎日命がけで外を歩いています。点字ブロックは命綱。娘たちの命を守っているブロックの大切さを認識してもらい、少しでも危険を減らしたい」。亥埜さんはハフポスト日本版の取材にそう語る。
しかし亥埜さんは、盲学校などが駅や学校の周辺で行う啓発活動に参加する中で、モヤモヤした思いも抱えるようになったという。
「『知ってください、お願いします』『もっと障がい者を支援して、助けて』という呼びかけばかりは嫌だな、と疑問に思うこともあったんです。街では本当に色々な方に優しく声をかけてくれたり、助けてくれたりします。知ってくださいというお願いと同時に、感謝の気持ちをもう少し伝えたいと思ったんです」
そこで、これまで点字ブロックに縁がなかった人々にも自然に理解してもらえるようにと、マスキングテープの商品を販売することを思いついた。2017年の夏ごろからグループで構想を練り、得意なメンバーでデザインも含めて自作したという。
「かわいそうだから買ってあげようではなくて『かわいい』とか『なんか面白そう』と思ってもらえるように。押しつけがましくない形で、点字ブロックのこと、視覚障がい者のことを自然に、多くの人々に知ってもらえたらなと思います」
また、点字ブロックのほかに、点字で「ありがとう」「こんにちは」のメッセージが入った商品も開発した。